建物の運用CO2排出量を最少化する
『カーボンナビゲーター』の開発

—環境配慮設計を最適にナビゲート—

2009年2月12日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、建築物の使用過程で発生するCO2の最少化を検証できるシステム「カーボンナビゲーター」(建築物CO2排出量計画システム)を開発しました。本システムは、運用CO2排出量を最少化した建物の設計や使用計画を可能とし、建築物の企画・計画段階で使用時のCO2の排出量が試算できることに加え、基本設計や実施設計などの各フェーズでの排出量も試算し、顧客に最適なCO2排出量を提案いたします。これにより、ビルオーナーの方々は、省エネルギーの観点から最適な計画を予測することができ、かつビルの評価価値のアップにつながります。

昨今、オフィス・店舗・ホテルなど業務部門における年間の運用CO2排出量は、1990年比で40%以上増加しており、業務用ビルでのCO2削減が急務となっています。現行では省エネ性能を表す指標としてPAL・CEC・ERR(注1)などの値が省エネ法(注2)等で規定され、省エネ基準をクリアする建築物へのニーズの高まりとともに、顧客にとっても運用CO2の排出量の削減を求めるケースが急激に増えています。さらに来年度より改正省エネ法が施行され適用対象が拡大するとともに、東京都におけるCO2総量規制や排出量取引制度導入などが予定されており、ますますCO2削減効果を、迅速かつ正確に試算し提案できることが求められます。

これらの状況を踏まえ、本システムは、建築計画の初期段階から短時間で各省エネ性能指標(PAL・CEC・ERRなど)の規制値を導き出し、CO2排出量やコストの正確な算出を可能とするものです。これにより、省エネ性能指標の規制値に適合し、かつ最も効果的にCO2排出量の削減を図ることができるようになります。

本システムは、「PAL-navi」、「ERR-navi」、「aurora」、「CarbonCalc」、「PAL-自動計算」の5つのソフトから構成され、設計の企画・計画、基本設計、実施設計の各フェーズに応じて使用します。加えて計画の初期段階から、建築物の仕様による省エネ対策・排出量取引・グリーン電力の購入など、コストも含めたCO2削減対策のシミュレーションを行うことができます。
特に「PAL自動計算」は、基本設計、実施設計の両段階でも「BIM(ビルディングインフォメーションモデル)」を利用し、面積集計などを自動化しているため、省エネ性能評価を受ける際に必要なPAL計算書の作成において大幅な効率化を実現でき、多くのプロジェクトで運用実績を積んでいます。
本システムの開発によって検討作業時間が、企画・計画段階で従来の1/10に、基本設計、実施設計段階では従来の1/4以下へ短縮でき、顧客への試算結果をフェーズごとに迅速に提案できます。

本システムにより、CO2削減を検討する顧客に対し、投資対効果を含めた最適な提案、性能設計のための営業ツールとして、プロジェクトへの活用を積極的に図っていきます。

  1. 注1PAL・CEC・ERR
    PAL−省エネ法に示された、建物の省エネルギーの指標となる年間熱負荷係数。建築物の外壁・窓などを通しての熱損失水準に関する指標。
    ERR−省エネ法に示された、CEC(空調・機械換気・照明・給湯・エレベータといった主要設備毎のエネルギー消費係数)を統合化した指数。
    設備全体における一次エネルギー消費量の低減率を表す。
  2. 注2省エネ法
    「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(S54.6制定)
    燃料資源の有効利用のために、工場・輸送・建築物等のエネルギー使用に関する措置を定めた法律。建築については、外壁や窓からの熱損失の防止や空調設備に関する措置が定められている。
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