国内初 ケミカルハザード物質の流出と汚染物質の侵入を同時に防止

医薬品工場等向けクリーンルームを開発

2008年1月17日
大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長:山内隆司)は、医薬品工場や研究所などに向けて、抗生物質や免疫抑制剤等の外部への飛散・流出を防止する機能と、外部からの汚染物質の侵入を防止するクリーンルームとしての機能を併せ持つ製造室(T-Hazard Barrier)を開発しました。流出と侵入を同時に防止する初めての施設であり、従来、管理区域としていたスペースを大幅に削減できると同時に、より高機能で安全性の高いハザード対応施設の実現が可能となります。

投与対象者以外の人にとっては有害となる抗生物質・制癌剤・免疫抑制剤等(=ケミカルハザード物質)を取扱う施設では、製造作業中に飛散したケミカルハザード物質が室外に飛散・流出しないようにするため、製造室(=取扱い室)を隣室よりも気圧の低い陰圧状態にすることが必要です。しかしながら、医薬品などの製造はクリーンルーム内で行われるのが一般的であり、クリーンルームは外部からの汚染物質の侵入を防ぐため、逆に室内を隣室より気圧の高い陽圧状態に維持しなければなりません。医薬品工場等のクリーンルームは、陰圧・陽圧双方の相反する機能を満たすことが要求されてきたわけです。
従って、現状では、一つの方策として、製造室を陽圧にするとともに、製造室に隣接する空間を設け、その空間や天井裏を陰圧にすることで、ケミカルハザード物質の一般エリアへの流出を防止する方法がとられていました。しかし、その場合、隣接空間や天井裏もケミカルハザード物質や汚染物質について管理する必要があり、各医薬品メーカーの負担となっていました。

今回開発したクリーンルームは、製造室の壁・天井を中空パネルで構成し、中空パネルの適切な位置に取り付けた複数の吸引口から陰圧維持ファンで吸引する事により、中空部を所定の陰圧に維持します。これにより上記の相反する2つの要求に応えることが可能となります。特長は以下のとおりです。

  1. 1陰圧スペースとして設けていた隣接空間の大幅な削減とその有効利用
  2. 2従来管理区域としていた隣接空間や天井裏等の管理コストの低減やメンテナンスの利便性の向上
  3. 3ケミカルハザード物質や汚染物質の確実な封じ込めと、管理区域の大幅な削減による安全性の向上
  4. 4従来と同等のコストで構築可能
  5. 5既存施設の改修・リニューアルに適用可能

当社技術センターにモデルルームを構築し、検証実験を行った結果、流出と侵入を同時に防止でき、医薬品製造用のクリーンルームには極めて効果的であることが実証されました。

今後は、より高機能で安全性の高いハザード対応施設として、医薬品メーカーの工場や研究所へ積極的に提案活動を進めていく予定です。

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