亜熱帯のリゾート人工島沿岸部に
水域生態系の環境を創造

−英虞湾のアマモ移植技術を、UAE・ドバイの海域で海草移植実験−

2006年9月27日
大成建設株式会社

大成建設(株)(社長:葉山莞児)は、UAE・ドバイのナキール社(NAKHEEL L.L.C.)と共同で、ドバイのリゾート人工島沿岸部において水域生態系環境を創造するため、海草の生育・移植の実験を展開し、この度のモニタリング調査において、マット上への海草の生育状況が確認され、実用化への目途が立ちました。

現在、ドバイでは巨大人工島リゾート開発(パームアイランド計画)を含め、ウォーターエリアの建設工事が進められており、また、その周辺部における水域生態系の環境創造にも期待が高まっています。
当社では今年2月に、UAE・ドバイの政府系デベロッパーであるナキール社(NAKHEEL L.L.C.)と、海草移植に関する共同研究契約を締結し、4月に共同実験を開始しました。
今回の実験では、人工島という周囲に海草がない場所に、魚類の産卵場、稚魚の育成場として水域生態系の創造に必要な海草(ウミジグサなど)を移植します。これは当社が、三重県英虞湾で実証したアマモの移植技術※を、亜熱帯地方での海域でも適用可能であることを実証する実験でもあります。
この実験内容(移植技術)としては、

  • ヤシ繊維性の海草移植マットを天然の海草群落に設置
  • マット上への種子の自然落下などにより、根の伸張ならびに海草の発芽や生育状況の確認
  • 海草が根付いた海草移植マットを、海草が生育していない新たな海域へ移植・移設
  • 海草の生育状況および土壌分析、水質分析、波高計測等の周辺環境モニタリング調査

これまでのモニタリング調査では、早くもマット上にかなりの海草が自然繁殖し、順調に生育していることを確認しました。今後は、移植技術の実用性を確認するとともに、実用展開のための大規模な海草移植マットによる検証を通して、ドバイ沿岸域での大規模移植計画に向けて技術の高度化を図っていきます。

さらに、将来的にはドバイ沿岸域にとどまらず、世界各地の様々な水域生態系の環境創造に、本技術の適用を目指します。

  • 独立行政法人科学技術振興機構の研究公募事業である三重県地域結集型共同研究事業の一部で実施したものです。