環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」をシールドトンネル全線に大量適用

セメント・ゼロ型を用いてCO2排出量を大幅に削減

2022年1月19日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、シールドトンネル下部に設置するプレキャストインバートおよび歩床部材に環境配慮コンクリート「T-eConcrete※1」セメント・ゼロ型をトンネル全線に渡り大量適用し、部材全体で53.8tのCO2排出量を削減しました。

 当社が開発した「T-eConcrete」は、普通セメント(ポルトランドセメント)の代わりに産業副産物の高炉スラグ※2やフライアッシュ※3などを混合して製造する環境に配慮したコンクリートです。また、同コンクリートは4種類のラインアップ(①建築基準法対応型、②フライアッシュ活用型、③セメント・ゼロ型、④Carbon-Recycle)を揃え、目的用途に応じた使用が可能です。

 そして今回、当社は、東京電力パワーグリッド株式会社が発注する千葉印西エリア洞道新設工事(その2)※4において、シールドトンネル工法で施工される地中送電洞道のインバート部の部材に「T-eConcrete」セメント・ゼロ型を大量に適用しました。
 同工事では、シールドトンネル(外径4.8m、延長3,790m)の全線に渡り、工場製作したプレキャストインバートブロック(12個)および歩床ブロック(1,432個)を設置します。インバートおよび歩床部材に使用した「T-eConcrete」セメント・ゼロ型は、従来のコンクリートに比べ材料製造時のCO2排出量を8割程度削減でき、「T-eConcrete」の使用量(223m3)から算出されるCO2削減量は、インバートおよび歩床部材全体で53.8tになります。(図1、表1、2および写真1~3参照)

 今回適用した「T-eConcrete」セメント・ゼロ型は、すでにシールドセグメントとしても適用実績があり、本工事のような大量使用にも安定した品質で材料を供給することが可能です。

 今後、当社は、「T-eConcrete」を有効な環境対策技術として、様々な場面で適用することでCO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を推進し、低炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。

図1 地中送電洞道断面図
図1 地中送電洞道断面図
  表1 使用部材の特徴
表1 使用部材の特徴
  表2 T-eConcreteの特性
表2 T-eConcreteの特性
写真1 T-eConcrete打込み状況
写真1 T-eConcrete打込み状況
写真2 インバートブロック脱型状況
写真2 インバートブロック脱型状況
写真3 インバートブロック設置状況
写真3 インバートブロック設置状況
  1. ※1

    環境配慮コンクリート「T-eConcrete」:
    コンクリート材料製造時のCO2排出量を大幅に削減でき、従来と同様の製造・施工方法で同等以上の性能を有し、高炉スラグ大量使用により資源の有効活用を貢献するコンクリート。
    製鋼過程で生じる産業副産物を利用し、材料製造に由来するCO2排出量を削減する①建築基準法対応型、セメント量を減らし、フライアッシュを加える②フライアッシュ活用型、ポルトランドセメントを使わず、CO2排出量を最大で80%削減できる③セメント・ゼロ型、その後、セメントを使用せず、炭酸カルシウムなどを用いてコンクリート内部にCO2を固定することで、CO2排出量収支をマイナスにするカーボンネガティブを実現する④Carbon-Recycleを開発済で、製品ラインアップに加えた。これまでに生コンや天然石材調建材「T-razzo®」などに適用するとともに、更なる普及・展開に向け「T-eConcrete 研究会」を設立。

    ・CO2排出80%減、「環境配慮コンクリート」を実施適用:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2014/140909_3940.html

    ・CO2排出量を削減し、低コストで意匠性に優れた天然石材調建材「T-razzo®」を開発:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/190705_4668.html

    ・環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」の普及展開に向け研究会を設立:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210112_5022.html

    ・カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を開発:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210216_5079.html

    ・国内初 環境配慮コンを用いたシールドセグメント「T-eCon/Segment」を現場導入:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210701_8227.html

    ・「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を建築物に国内初適用:
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/211201_8528.html

  2. ※2

    高炉スラグ:
    高炉(溶鉱炉)で銑鉄と同時に生成される産業副産物。ここでは水によって急冷し、乾燥・粉砕した高炉スラグ微粉末。

  3. ※3

    フライアッシュ:
    石炭火力発電所で微粉炭の燃焼により発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰。

  4. ※4

    千葉印西エリア洞道新設工事(その2):
    新京葉変電所(船橋市)から千葉ニュータウンエリアまでを連系する地中送電線路を収容する洞道(トンネル)を構築する工事。その1工事での新京葉変電所~千葉NT変電所の6.3km、その2工事での千葉NT変電所~千葉印西変電所の3.8kmを合わせた全長10.1kmをシールド工法で施工。工期は、2019年12月~2024年10月を予定。