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1873年の創業以来、大成建設グループは、日本の近代化や戦後の復興、経済成長、グローバル化といった社会の変化に適応し、数多くのプロジェクトを手掛けてまいりました。また、安全‧安心で、魅力ある街づくりや社会資本の整備に携わり、大規模な自然災害からの復旧‧復興、国土強靭化にも貢献することで、建設業としての社会的責任を果たしてまいりました。

こうした中で当社グループではこの度、10年後の目指す姿【TAISEI VISION 2030】を策定しました。「人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ」を目指し、そしてグループ理念「人がいきいきとする環境を創造する」を追求し、夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組んでまいります。

前中期経営計画(2018-2020)を振り返って

2020年度の日本経済は新型コロナウイルス感染症の流行が世界経済に多大な影響を及ぼすなか、非製造業の企業収益を中心に弱さが見られ、また雇用情勢や所得の先行きに対する不透明感も長期化していることから、全体として厳しい状況が継続しました。建設業界においても、公共投資は堅調に推移したものの、企業業績の低迷から民間設備投資が減少し、建設投資は前年を下回る水準で推移しました。大成建設グループでも、新型コロナウイルス感染症の流行に加え、東京オリンピック・パラリンピック関連案件の一巡などにより競争環境が激化し、厳しい状況が続きました。
このような事業環境の中で、前中期経営計画(2018-2020)は、配当性向や有利子負債など目標を達成できた項目もありますが、売上・利益面で最終年度の目標に残念ながら到達しませんでした。

中期経営計画(2018-2020)の総括

中期経営計画(2018-2020)経営数値目標の推移(連結)

  2020年度中計目標 2018年度実績 2019年度実績 2020年度実績
売上高 1兆8,700億円 1兆6,509億円 1兆7,513億円 1兆4,801億円
営業利益 1,870億円 1,533億円 1,678億円 1,305億円
当期純利益 1,300億円 1,126億円 1,221億円 926億円
ROE 12% 以上 16.2% 16.6% 11.6%
配当性向 25% 程度 25.4% 22.7% 29.4%
有利子負債 3,000億円未満 2,174億円 2,081億円 2,190億円
純有利子負債 (実質無借金経営の恒久化) (△ 2,503億円) (△ 2,745億円) (△ 2,753億円)
自己資本比率 40% 以上 39.0% 39.7% 44.9%

*中計目標達成項目

中長期の外部環境・構造変化

将来の建設市場の見通し、2030年を期限とするSDGs(持続可能な開発目標)などを踏まえたサステナビリティ経営の進化、データとデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革など、この10年間で起こるであろう中長期の環境変化や構造変化を3つのX(変革)として特定しました。この3つのXそれぞれが絡み合いながら当社グループに変革を迫ってくると考えています。

【IX】インダストリー・トランスフォーメーション

一つ目は、建設業界の構造的な問題であり、端的に言えば業界再編です。建設市場が成熟化する中で、現在の建設会社数のままでは厳しい競争が続くことが予想されます。また、業界の構造的には、少子高齢化による担い手不足への対応が喫緊の課題となっています。
このような背景のもとで、社会生活に欠かせないインフラの整備・維持、豊かな生活環境の提供といった建設業界が社会に求められる使命を果たしながら魅力ある産業として発展していくためには、ある程度の業界再編が必要であると考えます。
当社グループは、この再編の動きに主体的に対応するため、今後の成長が見込まれる分野や、当社が得意としていない分野、エリアの克服を目的として、M&Aを活用することで事業領域の拡大を目指していきます。

【SX】サステナビリティ・トランスフォーメーション

二つ目は、SDGsやESGといったキーワードに代表されるサステナビリティへの対応です。この1年間で世界的に大きくクローズアップされたカーボンニュートラルや気候変動、ダイバーシティ&インクルージョンの問題は、日本だけではなく全世界的な課題であることが今や共通認識です。これらの課題を事業から切り離すのではなく事業に結び付けて解決し、持続的な成長と企業価値の向上につなげていくことが当社グループにとっても大きなテーマとなっています。

【DX】デジタル・トランスフォーメーション

三つ目は、デジタル・トランスフォーメーションへの対応です。建設業界でのデジタル技術とデータの活用はまだ発展途上であり、いち早くビジネス全体にDXを取り入れ、現場での生産プロセスにおける飛躍的な生産性の向上や意思決定の迅速化、新たなサービスの創出を実現することができれば、圧倒的な競争力を手に入れることができます。しかし、逆にいえば、DXを進めなければ競争に勝てなくなる時代が遠からず訪れると認識しています。

TAISEI VISION 2030と中期経営計画(2021-2023)の位置づけ

TAISEI VISION 2030と中期経営計画

TAISEI VISION 2030

今後、当社グループが持続的な成長を目指していくためには、中長期的な外部環境・構造変化に対し、どのように対応していくのかということに加えて、何よりも当社グループの全社員が高いエンゲージメント(当社グループに対する信頼を保ち、目指す姿の達成に向けて自発的に貢献する意欲を持つこと)を維持して、目指す姿の実現に向けて取り組むことが重要になります。
そして、この目指すべき姿を追求することは、当社グループのグループ理念である「人がいきいきとする環境を創造する」や、グループ理念を追求するために、グループ全役職員が大切にする考え方である大成スピリットを具体化していくことに他なりません。
このような考えのもと、経営会議や取締役会において議論を重ねた結果、当社グループが中長期的に目指す姿を、「進化し続けるThe CDE3(キューブ)カンパニー~人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ~」と定めました。
「CDE3」とは私たちが携わる事業領域を示します。CはConstruction(コンストラクション)、当社グループの核である建築事業・土木事業のことで、引き続き深耕していきます。DとEはこれからの当社グループの成長エンジンとなる開発(Development)とエンジニアリング(Engineering)です。これに基盤となるエネルギー(Energy)と環境(Environment)を加えたものが「CDE3」です。
この【TAISEI VISION 2030】の中で、私が最も重要視しているのは「レジリエントな社会づくり」の部分で、これは我々建設業に課せられた使命であり、先駆的に対応していきたいと思います。

中期経営計画(2021‒2023)

この【TAISEI VISION 2030】の実現に向けて、足元の事業環境を考慮しながら、今後3年間で集中的に取り組むことを重点課題として特定したのが「中期経営計画(2021-2023)」です。
現在や過去の延長線で将来を予測するのではなく、10年後の大成建設グループの目指すべき姿からバックキャストし、この3年間で取り組むべきことを事業関連とサステナビリティ関連に分類して整理しました。今後はサステナビリティ経営の基盤を整備し、各事業に取り組んでいくことになります。

事業関連では各重点課題に対して、グループセグメントごとに事業戦略を定めました。
まずグループ国内建築事業に関しては、受注環境が厳しくなる中での競争優位性の確保を目標とし、リニューアル分野の拡大や生産性の向上などに取り組んでいきます。
グループ国内土木事業については、総合力を生かせるECI案件や、成長が見込まれる風力発電、高速道路リニューアル等への応札体制を整備していきます。
グループ海外建設事業については、現地化・拠点化の推進やアライアンスパートナーとの協働を進め、確実に利益が上げられる体制を構築していきます。
グループ開発事業については、ポートフォリオの最適化と安定的な収益基盤の構築を進め、グループシナジーの最大化を図っていきます。
当社グループに競争優位性があるグループエンジニアリング事業では、医薬など強みを持つ分野を更に強くするとともに、半導体や電子デバイス向けのファインケミカル分野などへの事業領域拡大や医薬品輸配送事業の販路拡大を進めていきます。

サステナビリティ関連については、エネルギー・環境分野では、環境分野のフロントランナーを目指して、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させていきます。
政府のカーボンニュートラル宣言を受けて当社グループでも環境目標を改定し、事業活動によるCO2排出量目標を2050年に「実質ゼロ」としました。これはサプライチェーン排出量におけるスコープ1・2にあたります。この目標達成に向け、当社グループの電力消費量を賄うことを目的として、2030年度までに100MW の再生可能エネルギー電源の保有を目指していきます。
スコープ3に対しては、事業活動の上流においては、カーボンリサイクル・コンクリートの開発・利用などグリーン調達を推進します。また、下流においては、次世代高機能ZEB の開発・実用化などによって、引き渡し後の建物使用によるCO2排出量を削減していきます。
安全分野では、「死亡災害ゼロ、重大事故ゼロを達成する」を重点課題としていますが、これまでの施策に加えて安全分野でもデジタル技術の活用を進めていきます。
技術開発分野では、政府のグリーン成長戦略で示された「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野」に対して、当社グループが技術力で貢献していきます。
DX分野では、2023年度までに、統合プラットフォームを構築することで社内データを収集・見える化し、データを活用した高い効率の生産プロセス構築に向けた基盤を整備していきます。
働き方改革とガバナンスでは、ダイバーシティ&インクルージョンを進め、多様な能力を最大限に発揮できる働きやすい環境を整備するとともに、グループガバナンスの実効性を高め、グループシナジーの最大化を目指していきます。
また、国連グローバル・コンパクトやISO26000といった国際的な行動規範、行動規格を参考にマテリアリティ(取り組むべき重要課題)を見直しました。このマテリアリティに基づいて中期経営計画の重点施策や具体策を定め、それがSDGs や当社グループの環境目標である「TAISEI Green Target 2050」の実現にもつながるという、当社グループのサステナビリティ経営の全体像を明確にしました。

中期経営計画のスタートにあたり、当社グループの全役職員が、【TAISEI VISION 2030】と「中期経営計画(2021-2023)」の内容をよく理解し、高い意欲と達成への使命感を共有しながら、一人ひとりが持てる力を最大限発揮することが重要だと考えています。これからの3年間で「中期経営計画(2021-2023)」の課題の解決と目標を達成し、その先にある【TAISEI VISION 2030】の実現に、社長である私自らがリーダーシップを発揮して邁進していきます。

中期経営計画(2021-2023)の最終年度(2023年度)における経営数値目標(連結)

単位:億円 2020年度実績 a 中期経営計画の最終年度
(2023年度)における経営数値目標 b
差額 b-a (参考)TAISEI VISION 2030
における2030年度目標
受注高 16,506 19,500 2,994
売上高 14,801 20,000 5,199 25,000
営業利益 1,305 1,400 95
当期純利益 926 1,000 74 1,500
ROE 11.6% 10%程度 10%程度
配当性向 29.4% 25%程度
純有利子負債 実質無借金
△ 2,753
実質無借金の維持

新たな時代に向けて

私が考える会社の目的は、「お客様に多くの価値と満足、そして感動を提供し、また、多くのステークホルダーの皆様の幸福にも寄与していくことを通じて社会貢献を果たしていく」ことです。お客様、株主‧投資家、取引先、従業員、地域社会といった全てのステークホルダーの皆様の思いを真摯に受け止め、期待以上の成果で応えていくことが、大成建設グループの競争優位性を高めるとともに、サステナブルでレジリエントな社会の実現にも貢献できると考えます。そのためには、「自由闊達」な企業風土を大切に育てていきながら社員の活性化と多様性を促進し、伝統技術(保守)と未来技術(革新)の融合による「伝統進化」を永続的に発展させ、そしてお客様にとってかけがえのない「価値を創造」することによる社会貢献を果たす、つまり「自由闊達」「伝統進化」「価値創造」という大成スピリットを全社員が共有することが大切であり、日々の事業活動でこれを実践することが大成建設グループの存在意義であると考えます。

我々の目の前には、国内建設市場の先行き不透明感、担い手不足、気候変動に代表されるサステナビリティ課題など、様々な課題‧リスクが山積しており、企業に求められる役割や責任も変化しています。

当社の創業者である大倉喜八郎は、激動する時代の中で幾多の困難にも立ち向かい、未踏の領域への挑戦を続けました。そのパイオニアスピリットを受け継いだ我々大成建設グループは、従来のビジネスモデルを時代とともに主体的に変革し、持続的な成長の基盤を固めながら、社会課題の解決につながるイノベーションを創出し、新たな価値を生み出す歩みを、新しい時代に向けた挑戦を続けてまいります。

ステークホルダーの皆様におかれましては、当社グループの更なる発展に向けた取り組みにご期待いただくとともに、今後も変わらぬご指導‧ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2021年9月
代表取締役社長

相川喜郎相川喜郎

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