消費者課題

品質の確保とお客さま満足の向上

品質方針と体制

大成建設グループは、お客様や社会に対し高品質の建設生産物・関連サービスを効率的かつ継続的に提供することは、重要な使命と認識しており、グループ行動指針に、『お客様満足の追求』及び『安全性・品質の確保と向上』を掲げています。大成建設では、本指針に基づき「品質方針」を制定するとともに各部門の個別方針も設け、生産活動を効率的に推進しています。「TAISEI QUALITY®」というスローガンを掲げ、品質管理体制のもとグループ一体となってお客様に安心・安全な建設生産物やアフターサービスを提供していきます。当社の各部門やグループ会社それぞれ、ISO9001の認証を受け、品質マネジメントを実施しています。土木部門・建築部門それぞれでマニュアルや実施要領を作成し、マネジメントシステムを運用するとともに、引き渡し後にお客様満足度調査を実施しています。

ISO14001/ISO9001取得状況

規格名 登録機関
当社 大成建設 EMS*1 ISO14001:2015 MSA
大成建設 土木部門 QMS ISO9001:2015 JTCCM MS
大成建設 建築部門 QMS ISO9001:2015 JTCCM MS
大成建設 設計部門 QMS ISO9001:2015 JTCCM MS
大成建設 エンジニアリング部門 QMS ISO9001:2015 JTCCM MS
大成建設 原子力部門 QMS ISO9001:2015 JTCCM MS
グループ 大成ロテック㈱ EMS ISO14001:2015 JUSE-ISO Center
QMS*2 ISO9001:2015 MSA
大成有楽不動産㈱ EMS*3 ISO14001:2015 JICQA
QMS*4 ISO9001:2015 JICQA
大成ユーレック㈱ EMS ISO14001:2015 JUSE-ISO Center
QMS*5 ISO9001:2015 JUSE-ISO Center
大成設備㈱ EMS*6 ISO14001:2015 BCJ-SAR
QMS*6 ISO9001:2015 BCJ-SAR
成和リニューアルワークス㈱ QMS ISO9001:2015 MSA
  • *1 EMSは大成建設㈱全社一括して取得
  • *2 QMSは大成ロテック㈱生産技術本部取得
  • *3 EMSは大成有楽不動産㈱全社一括して取得
  • *4 QMSはビル管理本部(登録範囲:首都圏5支店のビルメンテナンス業)、マンション管理事業本部取得
    (登録範囲:マンション管理組合の会計処理業務)、九州支店(登録範囲:ビルメンテナンス業)で取得
  • *5 QMSは大成ユーレック㈱建築本部、PC事業部取得
  • *6 EMS、QMSとも大成設備㈱本社と10支店全社一括して取得

各部門の品質方針

土木部門

土木部門は、お客様のニーズに基づき優れた品質の土木構造物を提供するため、総合建設業としての知恵と組織力を結集し、工事関係者全員の誠実かつ迅速な協働により、お客様に満足していただける品質とサービスを追求しています。更なるお客様満足の向上のため、品質マネジメントシステムについても有効性を継続的に検証し、より効果的な運用を目指します。

建築部門

建築部門は、建築事業における品質保証を実現するために1984年4月に、『建築品質管理標準』を制定し、受注・施工・アフターサービスを一貫した保証体系に従って推進してきました。その後1997年までにISO9001認証を取得し、それに合致した品質管理を実現しています。
ISO9001・2015年版への移行を機に、2008年に制定した『建築業務標準』を品質管理マニュアルに相当するものと位置付け、それに沿った業務フローを実施することによる品質管理を実現しています。現在の中期経営計画(2018-2020)に基づき、建築部門では品質方針を定め、顧客や社会の要求に合致した高品質の建設生産物・関連サービスを継続的に提供し、顧客の満足と信頼を得る、と宣言しています。

設計部門

設計部門は、1997年3月にISO9001認証を設計本部と支店設計部(8支店)一体で取得し、全国どの部署においても設計品質を確実にする仕組みができ、以降PDCAを回し成熟した品質管理体制を構築してきました。毎年継続して、営業部門、建築部門と協力し、プロジェクトのプロセスを見直し、「建築業務標準」及び設計部門の品質システムに反映させています。川上から川下まで建築部門と一体となった運用を進める一方、2016年に大成建設工事管理一級建築士事務所を開設し、独立した権限をもって工事監理を行っています。
昨今ICT化が急速に進み働き方も変わってきており、それに伴う新たなリスクも生じ、システムの見直しも必要になっています。設計部門は2002年6月に建設業界で世界初の情報セキュリティマネジメントシステム認証(当時BS7799、現在ISO27001)を取得しており、品質、環境、情報セキュリティのISOの活動を通じて総合的にリスクマネジメントに取組んでいます。

エンジニアリング部門

エンジニアリング部門は、日本の総合建設会社として初めて1968年に設立され、50年を超える業界随一の歴史と実績を誇ります。また、1996年に社内で最初にISO9001の認証を得てから20年以上、品質活動に取り組み、顧客ニーズの実現と多くの信頼を築いてきました。2020年には、建築部門、設計部門等と同じ認証機関へ移転し、企画・計画から設計・施工まで一貫して対応する部門として更に躍進を続けます
エンジニアリング部門では顧客満足の実現に向け、当社の品質方針のもと、「顧客要求事項を満足した高品質の施設・サービスを継続的に提供する」を部門の品質方針として掲げ、具体的な行動指針を下記に定め品質活動に取り組んでいます。

  • 1. 顧客要求事項を的確に捉え解決する
  • 2. 先進的なサービスを提供できる人材を育成する
  • 3. 法令・規制等を順守する
  • 4. 品質マネジメントシステムを適切に運用し、継続的に維持管理する

原子力部門

原子力部門では、当社の品質方針のもとに、原子力関連施設の設計、調査・研究開発、実証試験および技術支援を通じて、お客様満足の向上を図るとともに、原子力関連施設の安全性、信頼性および環境保全に資することを品質方針としています。
必要に応じて「原子力安全のためのマネジメントシステム規程JEAC4111」(一般社団法人日本電気協会)、「原子力施設における許認可申請等に係る解析業務の品質向上ガイドライン」(一般社団法人原子力安全推進協会)、「原子力施設のための品質保証要求事項NQA-1」(ASME:米国機械学会)等にも対応し、電力会社をはじめとするお客様個別の品質保証要求にお応えします。

お客様満足度調査の実施

土木部門

2019年度のお客様満足度調査は、土木部門の満足度は98%(昨年度96%)でした。更なるお客様満足度向上のため、本社・支店が連携し高品質なサービスの提供に努めていきます。

建築部門

2019年度のお客様満足度調査は、建築部門の満足度は88%(昨年度92%)でした。今後も調査結果を社内で共有し、本社・支店が一体となり不足部分の改善活動を通じ、顧客満足の向上に努めていきます。

(単体)

KPIs(重要業績評価指数)

お客さま満足度
2019年度目標
土木:100%
建築:100%
2019年度実績
土木:98%
建築:88%
2020年度目標
土木:100%
建築:100%
推進責任部署
土木本部・建築本部

ICTの強みを活かして即効性のある生産性向上を実現

大成建設では2017年度から、ICTを基軸とした生産性向上と技術革新への取り組みを「TAISEI i-Innovation®」と名付け、本社・各支店に推進担当者80名を配置して全社的な水平展開を図っています。計画・設計・施工・運用で得る情報を管理するT-CIM®やBIMの活用をはじめ、建設工事作業所において、生産能力の向上を実現する最も効果的で即効性のある施策としてICTを最大限に活用しています。
具体的には、作業所を中⼼に、社内外のプロジェクト関係者間で利用可能な情報共有ネットワーク「作業所Net」や、施工管理情報の閲覧・記録作成等の業務の効率向上につながる「Field Pad®」なども順次導入しました。このような取り組みを継続的に実施することで生産性向上に努め、2019年度の生産性(売上高/従業員数)は、117*(昨年度111)となりました。
* 2016年度実績値を100として算出

T-CIMを用いた生産システムの革新(土木部門)

土木部門では、建設現場の生産性と品質向上を目指した T-CIM システムの開発を2014年より行ってきました。国土交通省が2012年より提唱しているCIM(Construction Information Modeling/Management)は、3次元モデルに部材仕様などの属性情報を紐づけたものですが、当社の T-CIM では3次元モデルを必須としていないのが大きな特徴です。
T-CIMには、一般的なコンクリート工事を支援するシステム T-CIM /Concreteと専門工種を支援するシステムT-CIM / Tunnel。トンネルのほか、土工、ダム、シールド、橋梁、鉄道、海洋、土壌浄化などの専門工種別のT-CIMがあります。いずれも、出来形や品質の情報に加え進捗情報などをクラウドでどこからでも確認することができるシステムです。
このうちT-CIM/Concreteは、生コンの練混ぜ*から打込みまでの情報をインターネット上のクラウドで管理し、その状況をリアルタイムに閲覧することが出来るシステムで、土木現場のみならず建築現場にも展開が進んでいます。このシステムは、国土交通省の2018・2019年度の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM:Public/Private R&D Investment Strategic Expansion Program)において効果が確認され高い評価を得ています。

  • * 生コンとは凝固前のコンクリートを指す生コンクリートの略。練混ぜは、コンクリート材料を混ぜ合わせ、均一になるよう練ること。

(単体)

KPIs(重要業績評価指数)

生産性(売上高/
従業員数)
2019年度目標
110
2019年度実績
111
2020年度目標
110
推進責任部署
土木本部・建築本部

* 2016年度実績値を100。110は2020年度末までの目標

建設キャリアアップシステム(CCUS)の推進

将来の担い手確保や建設技能者の処遇改善につながる重要なインフラとして、国土交通省、(一社)日本建設業連合会、全国建設業協会、全国建設労働組合総連合など官民一体で建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及・推進に注力しています。
当社では、登録対象作業所を当初の予定より拡大(原則として工事請負価格1億円以上の作業所)して普及・推進を進め、2020年3月末時点で現場登録率(工事請負価格ベース)は75%となりました。
着実に事業者・技能者登録が進むよう協力会社の啓発に努め、CCUSを浸透させていく方針です。

(単体)

KPIs(重要業績評価指数)

建設キャリアアップ
システム現場登録率
2019年度目標
60%以上
2019年度実績
75
2020年度目標
80%以上
推進責任部署
土木本部・建築本部

* 総売上高に占める登録された作業所の売上高の合計の割合。60%以上は2019年9⽉までの目標値。2019年4月より本運用開始

建設技能者の人材確保と育成

大成建設は、(一社)日本建設業連合会より発表されている「労務費見積り尊重宣言」を踏まえ、建設技能者の労務賃金改善の趣旨に叶う適正な労務費(労務賃金)が明示された見積書等の提出を協力会社へ依頼すること、およびこれを尊重することにより、建設技能者の処遇改善を推進しています。

ものづくりを支える若手技術者、女性技術者支援

教育サポーター制度(土木部門)

2009年より「教育サポーター制度」を導入しており、作業所長経験者の中から選任された教育サポーターが若手社員のOJT教育状況を確認し、支援・指導しています。生産能力と体制を強化するために、「労務環境の整備」や「人材確保」に加え、社員のマネジメント能力の強化を図っています。
具体的には、「社員の現場力向上」を目標に掲げ、工程管理能力、設計力、積算力、交渉力、実行力などの能力を高めるため、OJT教育を導入・運用しています。

マイスター制度・本部員コーチング制度(建築部門)

2009年より「マイスター制度」・「本部員コーチング制度」を実施しており、「TAISEI QUALITY」活動の一環として、大成建設の技術やノウハウを確実に伝承するために、技術習得や専門知識習得を推進し、生産能力の向上と施工管理体制の強化を図っています。
マイスターに選任された社員や作業所経験が豊富な建築本部の幹部社員が、実際に現場に出向き、若手および中堅社員に密着し、OJTを通じて技術力、品質管理力、現場運営力などの教育・指導を行っています。

「けんせつ小町」が実現する女性活躍推進

建設現場での女性活躍推進の一環として(一社)日本建設業連合会の「けんせつ小町*」に協力し、女性技術者の活躍を後押ししています。当社でも2014年より土木・建築部門において、役員と女性技術者との対話の機会を設け、女性が活躍できる環境の整備に取り組む等、女性の視点を積極的に社内に取り込むことで、新たな価値を生み出すことができると考えています。2019年度、けんせつ小町活躍推進表彰の最優秀賞と特別賞を受賞した作業所の女性活躍における改善事例を、他の建設作業所へと水平展開するとともに、今後も、女性が能力を発揮し活躍できる職場環境の整備に努めていきます。新卒採用とキャリア採用を前年より増やしたことにより、女性技術者数は40名増の698名となりました。

  • *けんせつ小町:「けんせつ小町」は建設業で働くすべての女性の愛称です。建設現場で働く技術者・技能者、土木構造物や建物の設計者、会社の運営を支える事務職、営業担当者、研究者など、活躍の舞台は多岐にわたります。

情報管理の徹底

情報の適正な管理と情報漏えい防止対策

大成建設グループは、「ICTの利用も安全第一!」をスローガンに掲げ、情報セキュリティに関するさまざまな施策を実施し、グループ会社各社や、専門工事業者などの協力会社とともに、情報セキュリティ事故"0件"を目指しています。2016年度からは海外の営業所や作業所の情報セキュリティ環境の強化を進めています。そのほか、最低限守るべきルールを冊子にまとめ、すべての役職員、および専門工事業者などの協力会社の教育・指導を実施しています。
2019年度は、情報セキュリティ教育を5回実施し、重大なセキュリティ事故件数は0件となりました。

お客さまの情報管理の徹底について

「顧客情報の管理に関するガイドライン」に基づき、お客さまの要求する情報管理を徹底するため、工事毎の機密性の高さに応じたセキュリティレベルを設定し、社内の関係部署に確実に伝達するよう定めており、顧客情報の適切な管理を徹底しています。

建設業界全体の情報セキュリティレベルの向上

セキュリティベンダーと共同開発した「パソコンセキュリティ診断サイト」を無償公開し、大成建設と取引関係のある企業や同業他社などと共同利用することで、当社だけに留まらない建設業界全体の情報セキュリティレベルの向上を目指しています。

KPIs(重要業績評価指数)

重大な情報
セキュリティ
事故件数
2019年度目標
0
2019年度実績
0
2020年度目標
0
推進責任部署
情報企画部

* 対象は、大成建設および主要グループ会社8社が社外に公表した事故の件数

イノベーション・マネジメント

技術を価値創造の源泉とする大成建設グループにとって、事業の基盤といえるのが研究開発と知的財産活動です。当社グループでは、グループ行動指針の『価値創造への挑戦』で「技術・ノウハウを結集するとともに、技術革新と創意工夫により、新しい価値の創造に絶えず挑戦します」、「時代の先を常に見据えて、自らの知識・能力の向上に努めます」と宣言しており、SDGs達成への貢献を視野に研究開発のテーマなどを選択したうえで、社長を委員長とする技術委員会のもと、リニューアル・リプレイス分野*、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点をおき、技術開発を進めています。

  • *リニューアル・リプレイス分野:時間とともに物理的に劣化した建造物を、改修・更新して魅力を再生(リニューアル)するとともに、建造物のフェーズ(状況)にあわせて、省エネ対策等の提案を通じて、最新の技術・機能を付与(リプレイス)することで、価値を高めていく分野です。

研究開発費の推移(連結)

2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
研究開発費 109億円 111億円 116億円 124億円 135億円

特許保有状況

幅広い分野の技術を知的財産の側⾯からサポートすべく、知的財産戦略に基づき積極的な権利化・活用を実施し、㈱パテント・リザルトによる、保有特許資産の質と量の両⾯から総合評価した「ゼネコン業界特許資産規模ランキング2019」で1位となりました。
また、国⽴競技場整備事業等のプロジェクト関連技術のほか、継続的に研究開発を行っている「差別化技術」「省人化・省力化施工技術」についても大成建設グループ中期経営計画の注力を中⼼に一層の強化を図り、過去5年間(2015〜2019年度)でそれぞれ119件、43件の特許出願をしました。
今後も社会的課題の解決に向けた技術開発に取り組むとともに、幅広い分野での戦略的な知的財産の保持に努め、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略との三位一体による新技術の開発や作業所の技術支援、知的財産の活用などを通じて社会に貢献していきます。

(単体)

KPIs(重要業績評価指数)


特許権利(登録)件数

特許出願件数
2019年度目標
180
230
2019年度実績
169
188
2020年度目標
180
230
推進責任部署
技術センター

デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)

当社の中期経営計画(2018-2020)の経営課題に対する重点施策として、中長期を見据えた営業展開を掲げています。少子高齢化に伴う施設の改廃や、異業種企業とのアライアンスによる事業機会の創出等、当社グループは変化に対応できる柔軟な組織を目指しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対しても、「お客様への高付加価値なソリューションの提供」と「建設生産システムの改革による生産性向上」というお客様と自社グループの2つの事業への取り組みを、その礎となるグループ横断のデータ・プラットフォーム構築と共に推進しています。
お客様事業については、「AI・IoTビジネス委員会」のもと、国内外のIT企業・ベンチャー企業との協業や、オフィス・工場・病院等のお客様施設での実証実験などを通じて、引き渡し後に建物がどのように使われているかを把握・分析し、デジタル技術を活用したお客様の経営課題解決に繋がる高付加価値なソリューションを継続的に開発し提供することで、事業機会の創出や新たな収益源の構築に寄与する取り組みを推進しています。
自社事業については、「技術委員会」のもと、自律施工支援ロボットなどの省人化・効率化施工技術開発や現場への適用による建設生産システムの革新により、建設業界の担い手不足問題解消や、働き方改革実現に向けた取り組みを進めています。