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特集1

都市型ZEB

都市型ZEB
設計本部理事副本部長 加藤美好

設計本部理事副本部長
加藤 美好

エネルギーを大量に使用するビルは都市にある

大成建設は、エネルギー問題やCO2排出量増大による地球温暖化問題が深刻化するなか、「都市型ZEB」の実現を目指しています。ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)とは、消費エネルギーを大幅に削減すると同時に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを取り入れて、年間のエネルギー消費の収支をゼロとする建物のことです。
従来の省エネビルは、個別の省エネ技術を各所に導入して、できるかぎりエネルギーの消費を抑えようとするものでした。一方、ZEBはさらに一歩進んで、「省エネ+創エネ」で、建物全体で年間エネルギー収支ゼロを目指すものです。
日本のエネルギー消費量は、人口の密集する都市部に集中しています。建設に携わる企業の使命として、地球環境問題の解決に貢献するために選択したのが、世界でも数少ない都市型ZEBへの取り組みでした。

都市部にエネルギー消費、人口が集中

日本においては、面積ではわずか5%を占めるに過ぎない主要都市部に、人口の49%が密集し、国内の電力の48%が消費されています。当社では都市部での消費エネルギーを削減することが環境負荷低減の効果が大きいと考え、「都市型ZEB」の普及を推進しています。

※参考資料
 面積・人口 国立天文台 編「理科年表」
 電気量 (一社)日本電気協会「電気事業便覧」

面積割合と電力使用量および人口
面積割合と電力使用量および人口
「都市型ZEB」のコンセプト
「都市型ZEB」のコンセプト

建物単体でゼロエネを達成

都市型ZEBの最大の特徴は、建物単体でのゼロエネルギーを目指す点にあります。
ZEBの定義は世界的にも幅があり、建物単体では足りない創エネ分を、敷地内の別途に設置した太陽光発電などで補っている例も少なくありません。しかし都市型のオフィスビルにおいては、敷地内に多くの創エネルギー設備を設置するスペースがないため、建物単体でのZEB化を図る必要があります。創エネに限界がある分、徹底した省エネを進めることも重要です。
この最難関の課題に挑戦する第一歩として、大成建設技術センター内にZEB実証棟を建設しました。ZEB実証棟は、効果的な技術の組み合わせや新技術の開発を進めるとともに、季節や天候の推移も踏まえて綿密なシミュレーションを行い、大幅な省エネを実現。年間のエネルギー消費量を、一般的なオフィスビルと比べて75%削減し、残りの25%を創エネでまかなうことを目指しました。
2014年6月から運用を開始し、技術センターの研究者が中心となりモニタリングや検証を行った結果、省エネによる消費エネルギーは463MJ/m²・年、創エネは493MJ/m²・年となり、シミュレーション通りの建物単体で年間エネルギー収支ゼロを達成することができました。この極めて高いハードルを乗り越えたことで、日本全国地域を選ばず、ZEBを展開する準備が整いました。

年間エネルギー収支(計画値)
年間エネルギー収支(計画値)
グループ理念体系図

大成建設技術センターZEB実証棟/
大成建設技術センター内に建つ、ZEB実証棟。建物規模は延床面積1,277.32m²地上3階建ての、都市部における中規模オフィスに適用可能な構成。研究員が執務を行いながら、省エネ環境下におけるオフィスとしての快適性の評価を行っています。
(環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」)

年間データ(実績)
建物単体でゼロエネを達成

ゼロエネルギーだけではなく、安全性、快適性も重視

大成建設の都市型ZEBは、安全性と快適性のバランスも重視しています。切り替え型ダンパーを設置することで、限られた敷地を最大限に活用できる都市型小変位免震システムを採用。建物の安全性を確保し、電源確保と合わせて事業継続をサポートします。
室内では、人検知センサーによる照明・空調環境制御システムなど、省エネに配慮した上で、一人ひとりに快適オフィス環境を確保しています。
ZEB実証棟には、2014年6月の運用開始以来、国内外から約4,600人の見学者が来訪しています。また、新聞・雑誌への掲載件数は、延べ110件以上にのぼり、国内初となる都市型ZEBへの関心の高さがうかがえます。

「都市型ZEB」のコンセプト
切り替え型ダンパー
「都市型ZEB」のコンセプト
望月環境大臣ご視察
T-ZEBシミュレーター完成!
地域を選ばずZEBのソリューション提案が可能に。

立地や建物に合った最適なZEB化を提案

大成建設では、ZEBの提案促進を目指し、建物の年間エネルギー収支を総合的に計画評価できるツール「T-ZEBシミュレーター」を開発しました。
「T-ZEBシミュレーター」は、国内の計画地がどこであっても、敷地で生成される太陽光・風力・地中熱等の創エネルギー量と、省エネルギー手法を導入した建物のエネルギー消費量との収支を、様々なパターンで検討することができます。 これにより、計画建物のZEB化の検討や、ZEBを指向した建物への最適な提案を容易に行うことが可能となりました。

このツールはZEB実証棟の設計段階で用いたシミュレーション値に、実証で得られた詳細なデータを加えることで、精度の高い提案が短時間で可能となりました。ビル全体のエネルギー消費量をどれだけ減らすことができるのか。大成建設は、より多くの方にZEBのメリットを知っていただくことで、地球温暖化対策や省エネルギー化の強力な切り札となり得るZEB化推進に貢献していきます。

T-ZEBシミュレーター
T-ZEBシミュレーター概念図
T-ZEBシミュレーター概念図

外部評価

外部評価

技術開発・革新への
挑戦を続け
ZEBの未来を切り拓く

エグゼクティブ・フェロー
環境本部副本部長

嶋村 和行

エグゼクティブ・フェロー 環境本部副本部長 嶋村和行

次の時代を、見据えた技術開発・革新への挑戦

大成建設が、都市型ZEBという難易度の高いプロジェクトに挑戦することを決めた背景には、これまで開発してきた技術の蓄積があります。
大成建設は、設計・施工・運用に至るまでのライフサイクルにわたり、環境性能の向上を徹底した建物の構築を「大成スーパーエコビル」として推し進めてきました。中でも2006年に新築した大成札幌ビル(当社支店社屋)は、CASBEE最高ランクSを取得。さらに、当ビルでは、運用の改善を進め、2010年には他社に先駆けエネルギー消費量52%を削減という成果を生み出し、「ハーフ・エネルギー・ビル」の第1号と位置づけられました。
また、2007年には、当社の技術センター研究本館を次世代型省エネ研究所モデルとして改修し、2011年にはリニューアル分野において最高水準のエネルギー消費量35%の削減を達成しました。こうした取り組みは、省エネに関連した数々の賞を受賞するなど高い評価を受けています。
これらの実績をもとに2011年、ZEBへの取り組みを開始しました。先行していた米国へのZEB調査を皮切りに、アジアやEU諸国の技術動向についての調査をすすめ、ZEB実証棟の建設を決定しました。監修にあたっては、国内のZEB第一人者である千葉大学の川瀬貴晴教授が携わり、世界最先端のZEB実証棟が完成しました。

次世代技術の開発で、ZEBの実現をリード

ZEB実証棟には、大成札幌ビルや技術センター研究本館にも導入した躯体放射空調やパーソナル空調、太陽光採光システムなどの省エネ技術を進化させて採用しています。これらの技術と新規開発技術との組み合わせによって、圧倒的な省エネ性能を実現しました。エネルギー消費量75%削減という高い目標は、そうした技術の蓄積の上に設定されたものでした。
国内では、2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画において「2020年までに新築の公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指す」ことが示されました。米国やEU諸国においても概ね2020年と2030年をターゲット年に定め、ZEBへの取り組みを進めています。大成建設では国のZEB実現のロードマップに則し、2020年に「市場性のあるZEBの実現」を目指しています。 これからも次の時代を見据えた技術開発と、革新への挑戦を続け、ZEBの実現をリードしていきます。

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