トップコミットメント

大成建設株式会社 代表取締役社長 村田誉之

社会ニーズに応える企業グループを目指して

大成建設グループは、1873年の創業以来、社会の変化に適応し、社会やお客様の要請に応え、140年を超える歴史を積み重ねて今日に至ることが出来ました。
一方で、国内外で発生する新たな社会的課題や多様化する社会の価値観に対応できるよう、建設業に対しては、これまで以上に様々なニーズが出てくるものと考えています。
その中で当社グループは、社会のニーズに対応する高度な技術開発やノウハウの蓄積などをより一層推し進め、困難な課題にも果敢に取り組んでいきます。

今後とも、社会やお客様にとって新たな価値を創造するとともに、すべてのステークホルダーから信頼され、そして持続的に発展し続ける企業グループとなるべく努力を重ねてまいります。

大成建設株式会社
代表取締役社長
村田 誉之

GRI
  • G201-14
  • G205-4

トップインタビュー

社会的課題の解決を通じ社会の持続的発展に貢献し、次なるステージに進むために独自の強みを築いていきます

中期経営計画(2015-2017)の総仕上げに向けて

「建設事業本業の深耕」に確かな⼿応え。
注⼒5分野に加え、「エネルギー」、「海外」で成⻑を目指します。

2016年度を振り返って

昨年12月に新国立競技場本体工事に着手しました。当社は、旧国立競技場の施工会社であることから工事に対する思い入れも強く、工事を受注できたことを大変光栄に思います。今後3年間、設計段階から携われたメリットを最大限に生かして、未来に誇れるレガシーとなるよう尽力します。

基本⽅針「建設事業本業の深耕」とは?

⼈⼝構造の変化など世の中がどう変わろうとも、私たちは、お客さまから信頼され「本業で選ばれる会社」になることが持続的成⻑のための必須の条件であると考えます。そのために深耕すべきところは、⼆つあります。⼀つは、我々が積み重ねてきた中において建設業として取り組む余地のある課題にしっかり取り組むということです。例えば、技術⼒の向上、ICTを活⽤した⽣産性向上、働き⽅改⾰などに、これまで以上に注⼒していきます。もう⼀つは、将来へ向けて、本業をより深化させるということです。建設業に限らず、国内外の異業種との交流を深めることなどにより、⾼付加価値型の事業構造を目指していきます。

注⼒分野の成果は?

注⼒5分野と位置づけたうち「リニューアル・リプレイス分野」では、耐震化などの受注が順調に推移しました。また、「原⼦⼒分野」は、デコミッショニングや原⼦⼒発電所の再稼動へ向けた、安全対策⼯事などを受注しています。「環境分野」では、技術センター内にZEB実証棟を建設し、他社に先駆けたことで、ZEB化を目指したビルの新築⼯事の受注につながりました。
「エンジニアリング分野」では、従来から実績豊富な医薬品、⾷品などの⽣産施設分野の受注に成果があがっています。また「都市開発分野」は、札幌や熊本で⼤型市街地再開発案件を受注するなど、都⼼部だけでなく地⽅においても順調に受注を伸ばしています。
これら5分野に加えて、依然として深刻な社会的課題である「エネルギー」、インフラ輸出などに関連する「海外事業」に取り組み、成⻑を目指します。

短期的なリスクとその対応は?

東京五輪を目前とした2018年から19年にかけて、繁忙度の急上昇による⼈⼿不⾜が予想されることから、万全の⽣産体制を整えておくことを、今年度の重点課題と位置づけています。
ここ数年、中途採⽤を含めた採⽤の強化や、地⽅⽀店から⾸都圏へ⼈材を集めるなどの⼈材マネジメントを進めていますが、それらの施策だけでは不⼗分であり、現場⼒の強化、ICT化、働き⽅改⾰などによる⽣産性向上の⼯夫によって、繁忙度が極めて⾼いこの時期を乗り切りたいと考えています。
また、繁忙期には、品質トラブルに関するリスクに対し、より⼀層の気構えや対策が必要となります。どのようなミスでも社会に⼤きな影響を与える事象につながる場合があることから、品質管理プロセスを着実に実施していきます。

2020年東京五輪後の国内市場をどう⾒る?

現在の繁忙を避けて発注を延期している案件もあることから、五輪後もしばらくは⼀定の建設需要が⾒込めるものと⾒ています。その先は不透明ですが、建設業は、その時々の成⻑産業からの受注で成り⽴ってきました。全体の成⻑率が鈍化しても、そのとき伸びている産業は必ずあることが強みです。しかし、その産業で受注競争が激化するため、どのような受注環境においても、他社以上の評価をお客さまから得なければなりません。
近年、⼯期やコストでお困りのお客さまが増えるなか、設計と施⼯を⼀貫で発注いただくケースが増えています。これは、施⼯能⼒だけでなく、⼯期短縮やコスト低減への提案など、プロジェクトの計画段階におけるゼネコンの技術⼒が評価されるようになったためだと理解しています。建設業界の⻑い歴史のなかで、⼤変意義のある変化だと捉えており、設計施⼯案件でのお客さまからの評価を着実に⾼めていくことで、将来の市場における優位性を築きたいと考えています。

ESG課題への対応

ガバナンス強化策や繁忙度解消、⼥性活躍推進などをグループ全体で展開。ESG投資の考え⽅に賛同し、非財務情報を積極的に開⽰します

ESG情報を開⽰するのはなぜですか?

「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」に関する情報を考慮したESG投資が急拡⼤しています。社会的責任に関する⽅針や取り組みが的確で、ガバナンス機能がより⾼い企業は、中⻑期的な成⻑につながることは明らかであり、当社も、財務情報だけでなく、コーポレート・レポートを通じて積極的に開⽰していく⽅針です。
ESGの取り組みに関しては、特にガバナンス強化に注⼒しています。安⼼・安全なインフラ整備に携わる企業として、会社の信頼の失墜につながるようなことは、絶対に防⽌しなければなりません。
このため、全社的なリスクマネジメントの強化について、取締役会などにおいて討議し、また監査役、監査法⼈とも活発な意⾒交換を実施しています。
さらに、不正会計などコンプライアンスのあり⽅については、社員⼀⼈ひとりに粘り強く必要性を訴えることが重要と考えています。

外勤社員の繁忙への対策は?

従来から当社の外勤社員の繁忙度が⾼いのは、作業所運営の⽅法に課題があると考えています。従来の仕事の進め⽅にムダはないか改めて⾒直し、「変える勇気」をもって、働き⽅改⾰を断⾏していきます。
またこれを機会と捉え、建設⼯事だけにとどまらずグループ全社で情報と業務効率化のためのツール「Office365」を導⼊するなど、ICTを活⽤した⽣産性向上に注⼒し、労働環境の改善を図っています。

⼥性活躍の状況と効果は?

当社は、⼥性の職域を積極的に拡⼤させ、建設現場や、営業に従事する社員が⼤幅に増加したことが評価され、2015年に「第2回エンパワーメント⼤賞」を受賞しました。近年は、男性の育児休業取得率100%に向け育児休業の5⽇間有給化などの男性の⼦育て⽀援や、⼥性社員の能⼒開発に⼤きな役割を持つ男性上司向けの研修の開催など、男性も巻き込んだ多彩な取り組みで⼥性の活躍を⽀援しています。
建設業界で働くすべての建設技能者のうち、⼥性建設技能者はまだ1%程度にとどまっています。ゼネコンに⼥性の外勤社員が多くなれば、協⼒会社の⼥ 性技能労働者も⼊職しやすくなるでしょう。男⼥ともに働きやすい環境づくりを推進します。

* エンパワーメント大賞:女性の活躍推進・生産性向上を目指し、独自性と創意工夫のある取り組みを行う組織に与えられる賞

持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)
Sustainable Development Goals

SDGsは、2015年末に期限を迎えた「ミレニアム開発目標」(MDGs)に代わり同年に採択された国連が定めた新たな目標です。
真に持続可能な世界に向けて2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットからなり、国だけでなく、企業にも積極的な関与が求められています。

2030年までに達成すべき国連「持続可能な開発目標(SDGs)」について

「TAISEI i-Innovation」を打ち出し、生産性向上を推進。
ZEB先駆者として、次なる省エネ技術の開発にも着手します

建設業としてSDGsにどう貢献されますか?

当社グループが建設業として大きく貢献できる代表的な目標として考えられるのは、SDGsの17の目標の一つである『レジリエントなインフラの構築』です。具体的にいうと、「国土強靭化の推進」や「東日本大震災からの復興」、「i-Constructionの推進」です。
当社は、安全で信頼性の高いインフラの構築や被災地の復興、災害に強い国土づくりを、建設業の社会的責任として捉え、グループ各社をあげて課題の実現に取り組んでまいりました。
「i-Constructionの推進」では、2016年9月に、政府の未来投資会議において「2025年までに建設現場の生産性の2割向上を目指す」という目標が示されました。これに応えるべく当社は生産性向上と技術革新への取り組みを総称して「TAISEI i-Innovation」と命名し、今年4月から全社展開を始めています。
BIM*1、CIM*2活用の推進から最先端の技術革新まで、即戦力となるハードおよび、ソフト両面で進め生産性向上を目指しています。
このように、世界共通の持続可能な社会構築の指針のSDGsの実現に向けた機運向上にも寄与したいと考えています。

  • *1 BIM:Building Information Modeling。コンピューターで3Dの建物情報モデルを構築し、その情報を設計、施工、維持管理など建物のライフサイクルの全プロセスで活用すること
  • *2 CIM:Construction Information Modeling。調査・設計段階から3次元モデルを導入し、施工・維持管理の各段階での3次元モデルに連携・発展させることにより、一連の建設生産システム効率化を図るもの

環境課題への認識と取り組みは?

当社は、本業の建設事業を行う上で、資源・エネルギーの消費など、地球環境にさまざまな影響を与えているという事実を真摯に受け止めています。
事業活動のさまざまな場面において避けがたい環境負荷をできる限り低減するだけでなく、建造物の引き渡し後の環境負荷の低減や自然環境の再生など、持続可能な社会の形成に貢献していきます。
そのために当社は、省エネルギー技術や生態系保全技術をはじめとする環境技術に注力してきました。中でも省エネルギー技術については、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロのZEBを他社に先駆けて自社施設で建設、ゼロエネルギーの達成を実証することができました。実証の過程で、要素技術を最適に組み合わせることで、コストを短時間で割り出すことのできる「T-ZEBシミュレーター」も開発し、ZEB先駆者として市場性のあるZEBの普及展開を推進します。
今後は、エネルギー関連技術を中心とした技術開発に取り組んでいきます。ZEBのほか、エネルギー分野での技術で社会に貢献したいと考えています。例えば、燃料電池のほか、環境負荷を低減するためのCO2の封じ込め技術や、放射性廃棄物処分技術の開発を進めていきます。

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

ZEBの新定義

2015年12月17日に経済産業省資源エネルギー庁より公表されたZEBの定量的な判断基準の定義として、年間の一次エネルギー消費量に基づき以下のZEBレベルの考え方が示されました。

  • 『ZEB』100%以上省エネ建物
  • Nearly ZEB 75%以上省エネ建物
  • ZEB Ready 50%以上省エネ建物

ZEB普及に向けた大成建設と国のロードマップ

ZEB普及に向けた大成建設と国のロードマップ

ステークホルダーのみなさまへ

壮大なスケールのものづくりは、充実した日々のプロセスの積み重ね。
独自の強みを活かし、持続可能な社会の実現に一層貢献してまいります

事業を推進していくにあたり大切にしていることはなんでしょう?

私たちが携わっているのは、地図に残る壮大なものづくりのプロセスで得られる日々の感動を、社員の人生に一つひとつ刻むことのできる素晴らしい仕事だと自負しています。
グループ理念「人がいきいきとする環境を創造する」は、建設業本来の姿を社会との関係性からひもとき、かくあるべきと宣言したものです。当社がこの理念を明文化したのは1990年ですが、そのずっと以前から私たちはこの理念に込められた想いを大切にしてきました。
そして、今後も、その継承のために不断の努力を続けていきます。
また、当社の共通の価値観をグループ理念のもとに具現化した大成スピリット「自由闊達」「価値創造」「伝統進化」も、当社が大切にしていきたい変わることのない財産です。特に当社は、昔から「自由闊達」と言われてきました。「自由闊達」という言葉は心地よい響きがありますが、絵に描いた餅とならないよう、社員同士お互いが発言しやすい環境をつくる配慮が欠かせません。

最後にステークホルダーの皆さまへメッセージをお願いします

私たちは、お客さまや株主の皆さまをはじめとするさまざまなステークホルダーの皆さまから信頼を得ることで成長してまいりました。私自身、長い間建築現場で施工管理に従事してきて、難しい工程がうまく完了した瞬間や、苦労した工事が無事に竣工しお客さまが喜ぶ姿を直接拝見した時など、さまざまな出来事を今でも鮮明に覚えています。
企業は利益を追求する存在だけでなく、社会の一員として社会的責任を果たす存在であることからこそ「信頼される会社」になれるものと確信しています。
ステークホルダーの皆さまとの対話により得られた知見をもとに、次なるステージに向け、技術を通じて国内外の社会的課題の解決に貢献していきます。また、これまでの歴史で培われてきた独自の強みを生かし、ステークホルダーの皆さまへ新たな価値を提供してまいります。

「大成ロテック(株)の独占禁止法違反事案」について

大成建設では従来から決して独占禁止法違反を行わないという方針のもと、グループ会社を指導してまいりました。
しかしながら、当社の主要グループ会社である大成ロテック(株)において独占禁止法違反の事案が発生いたしました。
この事実を厳粛かつ真摯に受け止め、今後、同社を含むグループ全体のコンプライアンスのより一層の徹底を図り、再発防止と早期の信頼回復に努めてまいります。

(2017年7月31日現在)