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外部騒音に対する遮音設計手法

鉄道騒音の高層建物への伝搬特性

買手 正浩*1

Sound Insulation Design Method for Outdoor Noise

Characteristics of Railway Noise Propagation Towards High-rise Buildings

Masahiro KAITE*1

研究の目的

近年,駅前再開発事業など,鉄道軌道や幹線道路に隣接してオフィスや集合住宅などの計画・建設が多くなっています。一方,外周壁部の遮音仕様を決定するためには,到来する外部騒音を精度良く予測することが不可欠です。ここでは,移動する鉄道走行車両からの発生音の高所への伝搬特性に着目し,音源の鉛直方向の指向特性を考慮した音源モデルによる予測方法について検討しています。

技術の説明

在来線鉄道の列車走行時の発生音は,レールと車輪との間で発生する転動音やモーターファン音,構造物音などの他,様々な音源があります。ここでは,車両が複数連結された場合の転動音の音源モデルとして,既往の水平方向の指向特性と気動車1台の鉛直方向の指向特性との積として新たに指向特性係数を設定し,実際との対応を検証しています。

主な結論

鉄道軌道発生音の高層建物への伝搬予測においては,音源モデルの指向性係数を水平方向の指向性と気動車1台の鉛直方向の指向性との積とすることで,より実測値との対応が良くなることが示されました。必要以上に音源モデルを複雑にすることは避ける必要がありますが,現在の騒音伝搬シミュレーションに適用することを念頭に実務レベルでの有効性を勘案しながら最適設計を目指し検討していく予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室