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シールドマシンにおけるビット交換技術の開発

球体式ビット交換システムならびに二重ビット

足立 英明*1・高倉 克彦*1・森田 泰司*1・中根 隆*2

Technique for Replacing Cutter Bits During Shield Tunneling

Bit Replacement System with Spherical Structure, and Double-Bit Replacement System

Hideaki ADACHI*1, Katsuhiko TAKAKURA*1, Yasushi MORITA*1 and Takashi NAKANE*2

研究の目的

近年都市部では地上部の過密化によりますます地下空間利用がすすんでおり,都市部の軟弱地盤のトンネル構築に有効なシールド工法は数多くの実績を挙げていますが,発進立坑と到達立坑を少なくして事業費の削減あるいは地上用地確保を容易にするために,トンネルの掘削径を問わず長距離化(2km以上)する傾向が見られます。
長距離掘進を行うための最大の課題は,シールドマシンに設置されるカッタービット(以下,ビットと略す)の耐久性であり,掘進に伴い磨耗したビットを交換あるいは延命する技術が必要とされています。本稿では,この要請に答えるべく開発した2種類のビット交換技術について述べています。

技術の説明

球体式ビット交換システムは,大口径シールドマシンに設置されたビットの交換システムであり,回転可能な球体内にビットを納めて回転させてスポーク内で新しいビットに取り替え,逆方向に回転させた後にビットを押し出して所定の位置にセットします。
二重ビットは,小口径から大口径のシールドマシンに設置されたビットの,人的作業を伴わない簡単な構造の交換システムであり,1次ビットの内側に2次ビットを配置する構造となっています。1次ビットが磨耗してしまうと2次ビットが人の手を介することなく自動的に現れ,再び鋭利なビットで掘り進むことができます。

主な結論

球体式ビット交換システムでは,止水実験によって1.0Mpaまでの止水性を,作業性確認実験によって球体回転の人的作業による容易さ(最大トルク350kN・m)ならびに交換時間の短さ(30分/箇所)を確認しました。
二重ビットでは構造解析による材質・形状の決定に引き続いて,実施工において,1次ビットの耐久性ならびに1次ビットの磨耗により離脱する性能を確認しました。なお,二重ビットは,既に2現場での採用が予定されています。

*1 技術センター 土木技術開発部 地下空間開発室
*2 (株)IHI