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空気浄化ユニットの開発

NOx除去性能への環境条件の影響

万字 角英*1・生天目 泰*1・長瀬 公一*1

Development of Air Cleaning Unit

Influence of Environmental Conditions on NOx Removal Performance

Sumihide MANJI, Yasushi NAMATAME and Koichi NAGASE

研究の目的

交通量の多い都市部の道路や高速道路沿いでは,NO2などの環境基準の達成が困難な地域があります。このような環境下にあるオフィスビルでは,外気を建物内に取り込む際にNOx(NOおよびNO2)などに汚染された空気を清浄化する技術が必要となります。従来のNOxフィルタは,NO2の除去が中心で,圧力損失が高く材料のリユースが困難でした。そこで筆者らは,リユースが可能でNO2と同時にNOも除去できる光触媒塗布基板を内部に配置した空気浄化ユニットを用いて,省エネルギー・低環境負荷で汚染空気を清浄化する手法を検討しました。本報では,光触媒塗布基板のユニット内での配置方法およびその浄化性能に与える環境条件について検討した結果を報告します。

技術の説明

本ユニットは,角ダクトの内部に光触媒塗布基板を空気の流通方向と平行に配置することにより圧力損失の低減を実現しました。また,天板の紫外線透過性ガラスを通して照射される太陽光を利用して,光触媒機能を発現させることにより省エネルギーを実現しました。光触媒塗布基板は,長期間の使用により性能は低下しますが,水洗により容易に機能回復するためリユース可能です。また,光触媒の光源としての紫外線ランプの付設・交換が不要であることから,廃棄物が発生しない低環境負荷での空気浄化を特徴とします。

主な結論

空気浄化ユニットの性能を発揮するために,光触媒塗布基板の効率的な配置方法を見出し,圧力損失が極めて低いことを確認しました。さらに,浄化性能に与える環境条件としては,紫外線強度および風速の影響が大きいことを明らかにしました。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室