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ボスポラス海峡横断鉄道工事におけるアクセスシャフト動揺制御工法の開発

本田 隆英*1・織田 幸伸*1・伊藤 一教*1・上野 成三*2

Countermeasure against Access Shaft Oscillations for Bosphorus Crossing Immersed Tunnel

Takahide HONDA, Yukinobu ODA, Kazunori ITO and Seizo UENO

研究の目的

ボスポラス海峡横断鉄道工事では,海上から既設の海底トンネルへ作業員および資材の搬入を行うためのアクセスシャフトが設置されます。アクセスシャフトの許容設置精度は3cmと非常に難しい工事で,流れなどによってアクセスシャフトが大きく揺れると工事ができません。アクセスシャフトの設置確認に関する水理模型実験を実施したところ,海峡の流れが流速1.0m/sを超えるとアクセスシャフトが大きく動揺する現象が確認されました。そこで本研究では,工事を安全かつ円滑に進めるために,アクセスシャフトの動揺を大幅に低減する工法の開発を目的としました。

技術の説明

ダブルフィン型制御工は,アクセスシャフトの下流側に2枚の板を鉛直方向に取り付けただけの単純な構造ですが,この2枚のフィンによりアクセスシャフトの背後から非対称に発生していた渦がほぼ対称に発生するようになり,速い流れの中でもアクセスシャフトは安定し大きな動揺は発生しないことが確認されました。

主な結論

水理模型実験により全6種類の動揺制御工法を確認した結果,ダブルフィン型動揺制御工法に最も高い効果が得られました。ダブルフィン型動揺制御工法は,無対策時に比べてアクセスシャフトの動揺量を85% も低減できることが示され,安全で円滑な工事の実施が可能になりました。

*1 技術センター 土木技術研究所 水域・生物環境研究室
*2 国際支店 土木部 土木技術部