21

中性化抑制効果に優れた水系ふっ素樹脂クリヤ塗装仕様の開発

久保田 浩*1・髙橋 愛枝*1・大垣 敦*2・加茂 比呂毅*2

Development of Excellent Water-Fluoro-Resin Clear Paint System that Effectively Suppresses Concrete Carbonation

Hiroshi KUBOTA, Yoshie TAKAHASHI, Atsushi OGAKI and Hiroki KAMO

研究の目的

コンクリート打放しの意匠性を活かすためのクリヤ塗装仕様は,溶剤系での塗装仕様が一般的です。ところが,溶剤系は臭いの問題や揮発性有機化合物(VOC)を多く含んでいるため,環境負荷低減のために水系での仕上げが求められています。しかし,水系の塗装仕様は,中性化抑制効果に問題があることが分かっています。そこで,コンクリートの中性化抑制効果に優れた水系ふっ素樹脂クリヤ塗装仕様を開発し,その性能を確認しました。

技術の説明

開発したクリヤ塗装仕様は,下塗り,中塗り,上塗りで構成されています。下塗りは撥水効果と濡れ色防止機能を,中塗りは中性化抑制効果を,上塗りは耐候性を付与しています。中塗りと上塗りは耐候性の高いふっ素樹脂とすることにより,耐久性を高めています。

主な結論

開発した水系ふっ素樹脂クリヤ塗装仕様は,中塗りを2回塗り以上とすることにより中性化抑制効果が高いことが分かりました。また,促進耐候性試験の結果から溶剤系とほぼ同等の耐候性があることも確認されました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 日本ペイント(株) 汎用塗料事業本部