次世代油圧ショベルによる作業自動化を実証

複数建機との円滑な連携作業を確認

2019年4月26日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、キャタピラージャパン社製の次世代油圧ショベルCat 320に、独自で開発した「自律割岩システム」を実装し、土工事における掘削・積込作業の自動化と、複数の建設機械による円滑な連携作業を確認しました。

 生産労働人口の減少や高齢化が社会的な問題となる中、生産性の向上や人手不足の解消は、建設産業においても大きな課題となっています。そのため、国土交通省が推進しているi-Constructionにおいて、建設現場で様々なICTの活用により生産性は徐々に向上してきていますが、今後、深刻化が予想される人手不足に対応するためには、さらに生産性向上への取り組みを加速する必要があります。

 このような背景から、当社では、従来より遠隔操作と自律制御可能な建設機械システム(T-iROBO®シリーズ※1)の開発に取り組んでおり、2014年に「自律割岩システム」を構築しました。今回、電子制御※2が可能なCat 320をベースマシンに採用し、土工事での掘削・積込作業の自動化に向けた開発を進め、作業自動化や複数の建設機械との連携作業を実証しました。採用したCat 320は、生産性、テクノロジー、燃費、メンテナンスコスト、安全などあらゆる面で従来モデルを超越した次世代の油圧ショベルです。機体がCANによる制御に対応しており、高精度な半自動施工を実現する2Dマシンコントロール※3やバケット積載量計測システム※4が標準装備されています。

 開発の第一段階として、昨年実施した作動テストの結果、Cat 320の本体に改造等施すことなく、割岩作業を実施でき、試験で実施した直径1.5m級の大型岩石の割岩作業で90%以上の高い精度での自律作業を確認し、Cat 320と「自律割岩システム」の高い親和性が実証されました。
 さらに、第二段階として、Cat 320を含む複数の建設機械との連携について実証試験を開始し、Cat 320単独による土砂掘削・積込作業の自動化および有人ダンプトラックとの連携作業について動作を検証し、円滑な作業が実施できることを確認しました。

 今後、当社は、実証試験や実際の建設現場において本技術の検証を継続し、各種建設機械の作業自動化および自動連携の実現と、将来的にはAI技術の有効活用を視野に入れた技術開発を進め、各種建設機械による無人化施工技術の確立を目指してまいります。

第一段階:自律制御による割岩作業
第一段階:自律制御による割岩作業
第二段階:自律制御による掘削作業
第二段階:自律制御による掘削作業
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  1. ※1T-iROBOシリーズ
    人とロボットの協働を目的として、大成建設が開発した作業用ロボットシリーズを示す。建設機械に搭載するシステムには、振動ローラーが施工位置を把握しながら、自ら判断して自動で転圧作業を行う転圧走行無人化施工システム「T-iROBO Roller」、割岩したい岩を指定するだけで建設機械が自ら判断して岩に接近し、自動で破砕する割岩無人化施工システム「T-iROBO Breaker」などがある。
  2. ※2電子制御
    機械本体と外部との相互通信をシンプルかつ高速な回路構成で実現できるCAN(Controller Area Network)のネットワーク技術を活用し、機械各部のセンサ情報の収集統合や、機械の動作制御が可能となる。CANとは、自動車や建設機械、産業用ロボット等の機械内部において、各システムやセンサを接続するためのネットワーク規格。
  3. ※32Dマシンコントロール

    油圧を制御して、建設機械のブームやバケットコントロールすることにより、オペレータの運転操作をサポートする機能で、オペレータの作業負担を軽減し、作業品質の確保、作業時間の短縮を実現し、作業効率の向上が可能となる。

  4. ※4

    バケット積載量計測システム
    リアルタイムにバケット内の積載重量とトラック積載量をモニター画面に表示するシステムで、重量を確認しながら、効率的に積載作業を行うことが可能となる。