環境DNAを用いた生物モニタリング技術
環境DNA分析技術の活用により生態系に配慮した環境保全計画が可能になります。
お客様のメリット
- 建設地周辺水域に生息する生物の種類・存否について、分布、時期が調査できます。
- 採水から情報を得る環境DNAの活用により、生態系への影響が少ない生物調査ができます。
- DNA配列に基づいたDNA分析により、目視確認が困難な生物種の判別ができます。
技術の特徴
環境DNA分析技術
水域の水や土などに含まれる生物由来(生物の破片、排泄物等)のDNA(=環境DNA)を分析することで、水域に生息している生物の情報(生物の種類、存否)を得る技術です。
環境DNAの分析方法
現地で採水し、現地または実験室でろ過します。次に、ろ紙上の残渣物からDNAを抽出します。対象生物のDNA配列情報をもとに、抽出したDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により対象の配列を増幅させ、対象生物のDNAの有無や量を調べます。河川、海域、湿地などの水域環境や、魚類、両生類、海草などの対象生物種により、最適な採水量や分析条件が異なります。最適なDNA分析方法について事前に検討し、採水・分析計画を立案します。




環境DNAを活用した生物モニタリング技術
環境DNA分析では、DNAの有無や量から、対象生物の種類、存否、経時的な増減変化が推定できます。環境DNAを活用した生物モニタリングは、これらを利用して、生活史に合わせた存否確認、季節や急激な環境変化による繁殖や衰退などの増減についてモニタリングを行います。今後、モニタリング可能な生物の種類を増やし、海洋、河川、湖沼などの水域における環境保全に広く適用できる生物モニタリング技術として積極的に開発に取り組んでまいります。
実績・事例
ダム建設現場周辺の河川を遡上する魚類のモニタリング調査
- 調査概要
- 場所:魚道が設置されたダム建設現場周辺河川
- 調査対象:サクラマスの遡上
- 期間:2018 年6 月18 日~2018 年11 月19 日(約5 ケ月)
- 頻度:週1回~月1回程度(計12 回実施)
- 分析項目:サクラマスのDNA
- サクラマス
- 河川上流で孵化し、海で成長、再び河川を遡上して産卵する遡河性回遊魚
- 準絶滅危惧種
- 採水地点
- ダム建設現場近くの下流と約7km上流の2地点で採水
- 下流では他機関によりビデオによる遡上数調査が実施された


サクラマス遡上のモニタリング結果
(環境DNA分析値と目視調査の比較)


