トンネル湧水測定技術「 T-DrillPacker®」
トンネル坑内から前方調査ボーリングを用いて迅速・確実な湧水調査を行います。
お客様のメリット
- パッカーを用いた測定により、湧水帯をより正確に調査できます。
- 削孔管を引き抜く必要がなく、孔壁崩壊リスクの低減と調査時間の短縮が可能です。
- 前方の湧水状況を正確に評価でき、効果的な湧水対策の計画に役立ちます。
技術の特徴
山岳トンネル施工中に坑内に流入する湧水の発生箇所や水量・水圧を事前に把握することは、工事を安全・確実に進めるために重要です。湧水区間の湧水量や湧水圧を正確に把握するためには、前方調査ボーリングを行い、パッカーを用いて測定する必要があります。従来の方法では、削孔管の引抜き作業の際に孔壁が崩れるリスクがあり、また多くの手間と時間がかかっていました。そこで、削孔管の引抜き作業が必要なく、湧水帯の湧水量、湧水圧を迅速・確実に測定できる新しい調査技術を開発しました。

測定時間を大幅短縮
外側にアウタービット、内側にインナービットを備えた二重ビッで削孔し、湧水測定時は、インナービットのみをワイヤーラインで高速に回収します。削孔途中でインナービットの回収とパッカー挿入を迅速に行えることから、従来方式と比べ、測定に要する時間を20%低減できます。
孔壁崩壊リスクを低減
削孔管を残したままパッカーを挿入できるため、孔壁崩壊リスクの無い、確実な調査が可能です。パッカーには、アウタービットの内側を通る径からボーリング孔壁まで大きく膨らませることのできる大拡張パッカーを採用しています。
繰り返し測定が可能
測定後、パッカーを回収し、インナービットを先端部まで水圧で圧送して再セットすれば、削孔を容易に継続できます。その後の削孔中も必要な箇所で湧水量・湧水圧を繰り返し測定できます。

ノンコア削孔、コア削孔の両方に対応
高速掘削に用いるノンコア掘削タイプの二重ビットを、詳細地質調査に用いるコアチューブを備えたコア採取用ビットに変更することで、コアボーリングにも適用可能です。
実績・事例

亀裂の多い岩盤で大量の湧水が発生している国内の道路トンネル工事現場にて、T-DrillPacker(コア削孔タイプ)による湧水調査を行いました。調査では90mのコアボーリングの削孔途中に出現した湧水帯を対象とし、その湧水量と湧水圧を測定しました。パッカーを用いない場合には、ボーリング口元を閉鎖して水圧を測定するのが一般的ですが、孔内の平均的な圧力となるため、湧水帯の圧力を過小評価する恐れがあります。本手法により、対象の湧水帯をパッカーで区切って測定した区間湧水圧は、ボーリング口元で測定した口元湧水圧よりも高いことが分かりました。このように、本手法を用いることで湧水帯固有の正確な湧水圧を測定でき、より適切な湧水対策の計画が可能になります。削孔を再開後、90mのコアボーリングと湧水調査を2日間で実施できました。

