河道閉塞に伴う暗渠排水管の急速施工法
天然ダムに推進機を使用して排水管を設置する施工方法です。
お客様のメリット
- 従来の大容量ポンプによる常時排水技術に比べ、自然流下による水位低下に着目した暗渠排水管敷設技術です。
- 資機材搬入路の整備も推進工法に比べ軽微なものとなり、施工期間を短縮し施工を終えることが可能となります。
- 常時、天然ダム湖の水位を自然流下で低減することが可能となり豪雨による越流を減ずることができます。
技術の特徴

平成23年9月に発生した台風12号は、紀伊半島一帯に大きな被害をもたらした。中でも、奈良県吉野郡十津川村栗平地区は崩壊土量約2,500万m3と推測される深層崩壊が発生し、新宮河水系熊野川(十津川)支流の栗平川(流域面積約8.7km2)を閉塞し「天然ダム」を形成した。
その規模は、豪雨による河道閉塞としては国内最大級のものであり、閉塞高100m、縦断方向750m、横断方向350mに達し、最大750万m3の湛水可能な天然ダム湖を形成した。天然ダムの決壊によって発生する土石流は、下流側に大洪水を引き起こし流域の住民への影響が懸念された。
緊急対策工事時から実施している大容量ポンプによる常時排水は、日々の給油や機械メンテナンス等の維持費用の面からも難が有るため、自然流下による水位低下に着目して暗渠排水管敷設を行った。暗渠排水管の敷設工法としては、開削工法によるものが一般的であるが、当地では敷設計画高迄の掘削量が数十万m3に及ぶ大規模土工になるため、湛水池の水位低下を図るため天然ダム堤体内を推進工法により暗渠排水管を緊急的に整備した事例がある。
今回の開発は、オーガ式小口径推進工法を用い、オーガー先端で薬液などで管栓を行いダム湖からの流入水を止水し、オーガーを引き抜き、その後開栓し暗渠排水管を布設するもので、推進工法の課題を解決できる工法である。
施工手順
- 1排水口部に推進機発進用の設備を設ける。
- 2φ400mmで全長(200m)掘削推進(全線礫層)することは困難なため、多段で施工を行う。
- 3順次推進を行い、到達(天然ダム)手前で止水グラウトを行う。
- 4止水グラウト完了後、推進管を押し出し天然ダム湖に到達させる。
- 5その後、推進管を残置しオーガーを引き抜く。
- 6口元シャッターの切り替えを行い、排水を開始する。

