二酸化炭素地中貯留技術
地球温暖化対策として、CO2の地下深部への安全な貯留技術を開発しています。
お客様のメリット
- 地下に圧入した後のCO2挙動を数値シミュレーションにより予測します。
- CO2圧入に関わる安全性や周辺環境影響を定量的に評価できます。
- 地下深部の高温・高圧下でのCO2挙動を室内実験により調べることができます。
技術の特徴
二酸化炭素の回収・地中貯留技術はCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれ、発電所、製鉄所、セメント工場から排出される二酸化炭素を分離・回収し、パイプラインや船舶で貯留地点まで輸送し、地中に封じ込める総合技術です。
幅広いリスク要因の予測・評価が可能な数値解析技術

地球シミュレータなどの超並列スーパーコンピュータを使い、地中のCO2挙動を高速で数値解析する技術を開発し、国内外のCCSプロジェクトに適用しています。超臨界CO2の地中挙動だけでなく、地盤応力・変形や化学反応との連成解析により、CO2を封じ込める低浸透層(キャップロック)の健全性など、幅広いリスク要因に対応した評価が可能です。
地下貯留層の高温・高圧条件下での超臨界CO2挙動実験

地下深部を模擬した高温・高圧条件下において岩石コア試料に超臨界状態のCO2を圧入し、シミュレーションに用いる浸透特性パラメータも取得できる室内試験装置を開発しました。
国内外プロジェクトへの積極的な参画によるノウハウの蓄積
国内外のCCS実証試験への適用を通じて技術の実用性を確認しながら、ノウハウを蓄積しています。国内では、二酸化炭素地中貯留技術研究組合を(公財)地球環境産業技術研究機構や(国研)産業技術総合研究所、4民間企業と共同設立し(2016年4月)、安全なCO2地中貯留の実現に向けた技術開発を進めています。
実績・事例

米国の炭素隔離地域パートナーシップWESTCARBは、カリフォルニア州を含む8州が参加してCO2地中貯留の実証を行なうコンソーシアムであり、当社は2007年からWESTCARBに参画し、実証試験の予測や評価などで貢献しています。図は、米国カリフォルニア州のCCS実証試験で当社が実施したCO2地中挙動解析による貯留状況(地下深部の地層断面)です。深い地盤中では温度と圧力が高いため、CO2は液体と気体の性質を持った超臨界状態になります。地盤に浸透しやすく、かつ高密度なため効率の良い貯留が可能になります。このような解析により、地中に貯留したCO2の長期的な安定性も予測可能です。
社外表彰
平成22年度 地盤工学会地盤環境賞 「地球シミュレータを用いた二酸化炭素地下貯留の大規模シミュレーションシステムの開発と実用化」