PROJECT STORY 02

土木

武豊火力発電所 リプレース工事
火力発電所を撤去、新設するための
陸上と海上の土木工事

2018年9月 取材・撮影

地域の電力需要に応える
次代の発電所をつくる

PROLOGUE

三河湾を臨む広大な土木工事現場で

名古屋市から南に約40km、知多半島の愛知県武豊町では、三河湾を臨む広大な敷地において、電力の安定供給を担う発電所の建設が行われている。この工事では、石油を燃料とする出力112.5万kwの旧発電設備3基を撤去し、石炭を燃料としてより高効率に従来と同レベルの出力107万kwの発電能力を持つ発電設備1基を設ける計画が進められている。また新しい設備においては、燃料として石炭に加えて、再生可能エネルギーである木質バイオマスを採用することにより、二酸化炭素排出量の削減が図られている。より効率よく、安定して電力を供給する次代の発電所を作る本プロジェクトにおいて、大成建設は発電設備が稼働する基盤となる土木構造物の工事一式を請け負っている。旧発電設備の撤去工事が行われていた2016年夏、ほぼ時期を同じくして2人の土木技術者、加藤と井上がこの工事に配属された。彼らは現在、陸上工事、海上工事それぞれの作業所長として奮闘している。

MEMBER

井上 政明
作業所長
井上 政明
Masaaki Inoue
1993年入社
加藤 哲生
作業所長
加藤 哲生
Tetsuo Kato
1993年入社

OUTLINE

発電所を建てるための地盤を固める

発電所を建てるための
地盤を固める

01

陸上工事では、発電機の冷却などに使用した水を外へ出す「放水路」の設置工事、発電に必要な石炭や水を運搬、処理するためのコンベヤや大型タンクを据付ける「基礎」の設置工事などが行われる。それらの工事の前に、まず初めに実施されたのが地盤の改良工事である。発電所が建設される地盤には、極めて高い安定性が要求される。そこで、専用の建機を使って地盤改良杭(砂を強固に締め固めた杭)を打ち込み、そこに振動を与えて地盤を強化するサンドコンパクションパイル工法による工事が行われた。今回の地盤改良工事で使われた地盤改良杭は、約50,000本にのぼる。またプロジェクト全体で使われるその他の資材を見ても、鋼管杭1,000本、鋼管矢板520本、PC壁体1,000本、コンクリート打設50,000㎥という相当なボリュームになる。大規模なこの現場の作業所長を務める加藤は、工事の主要部分を任された重責を果たすため、約30名の部下たちの力を懸命に結集し陸上工事を進めていく。

何もない海の上の工事の難しさ、面白さ

何もない海上での工事の
難しさ、面白さ

02

海上工事では、発電機の燃料となる石炭を運ぶ大型船を横付けできる「揚炭桟橋」の設置工事、大型船を受け入れるために浅い海底を掘り下げる浚渫工事、発電設備の冷却に適した温度の海底近くの水を取り入れる「深層取水設備」の設置工事などが行われる。海上工事の責任者である井上もまた、同期の加藤と協働して重責を担う作業所長を務める。井上によると、海上工事の難しさは、何もない海に構造物を作るところにある。海上では、作る構造物の位置を決める測量も陸上と同じようにはいかない。また井上は、「海上土木といいながら、海上作業をなくすようにするのが面白いところだ」という。揚炭桟橋を設置する場合、その床を構成するコンクリート部材をすべて海上で組み立てるのは大変な作業だ。そのため、部材をできるだけ陸上で作る、プレキャスト化という方法が採られている。ただし、陸上で作ろうとしても、幾つもの工事が進行する敷地内にスペースの余裕はない。そのため、少し離れた愛知県蒲郡市の工場で作った部材を海上輸送してくる。このように海上作業をなくすための様々な工夫を凝らしながら、井上たちは何もない海の上にしっかりと構造物を築き上げていく。

自分の仕事から生まれる喜びをやりがいにして

自分の仕事から生まれる
喜びをやりがいにして

03

陸上工事・海上工事それぞれの作業所長を務める加藤と井上。二人の話を聞くと、共通して仕事のやりがいにしていることがある。それは、「人の喜び」である。加藤はいう。「工事の規模が大きくなればなるほど、様々な苦労がある。しかし完成の暁には、街のシンボルになり、地域の将来に貢献できるものと信じている。それがやがて人々の喜びに繋がると願い、日々の仕事に励んでいる」一方、井上も「東日本大震災の被災地で高台移転工事を手掛けた際、引越しが終わった人たちに喜んでいただけた時の嬉しさ」を熱い口調で話してくれた。作業所長として2人が目指すところもまた、同じである。2人ともに、自身が統率する現場づくりの大切さを強調する。「ものを作るという目的は同じでも、そこへたどり着くまでの過程によって良いものができるかどうかが決まる。ものづくりの過程に関わる全員が十分に意思疎通をし能力を発揮できる現場をつくりたい」という加藤。井上は、「初めて作業所長として関わるこの工事を通じて、いかにメンバーが前向きな現場づくりができるかに挑戦したい」と今後の抱負を力強く語る。

EPILOGUE

工事の行く手にあるもの

武豊火力発電所が竣工し営業運転を開始するのは、2022年3月の予定である。今はまだ姿を現していない海上や陸上の土木構造物が、工事計画に沿って着々と作られていく。そしてその時々の工事の内容に合わせて、多くの人材が投入され、資材が調達され、様々な施工作業が行われることになる。それらすべてのマネジメントを担うのが、加藤、井上ら作業所長である。工事の行く手に何があるのか。近年、異常気象により大型の台風が頻発している。台風に見舞われると、陸上工事も海上工事も重大な影響を受ける。こういった自然環境との戦いは、土木工事の宿命ともいえる。それでも土木技術者たちは、自然との戦いを経験と技術で乗り越えて、予定通りの完成に向けて確実に工事を進めていく。

PROJECT FLOW

2014

契約

アライアンスパートナーとして撤去から新設までの土木工事を受注。
2016

撤去工事

旧発電設備3基の撤去工事が行われる。
2017

新設工事

新発電設備を建設する海上、陸上の土木工事が行われる。
2022(予定)

竣工 運転開始

すべての構造物の引き渡しが完了し、発電所の本格的な運転が開始される予定。

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