PROJECT STORY 01

建築

ホテルオークラ 東京本館建替計画
都心の傾斜地での難しい計画・工事で
日本を代表するホテルを建替える

2018年9月 取材・撮影

都市開発、設計、
工事がつながって
“ここだけのストーリー”
ができていく

PROLOGUE

特別なホテルの建替に関わる社員たち

幾つもの大型ビル建設や地下鉄新駅などの交通インフラの整備が進められ、東京都内でも有数の国際ビジネス街へと変貌しつつある港区・虎ノ門地区。このエリアで日本を代表するホテルとして国内外のVIPをもてなしてきたホテルオークラ東京が、新本館「The Okura Tokyo」として生まれ変わる。インターナショナルなホテルと最先端のオフィスからなる「オークラ プレステージタワー」。日本の美のエッセンスを造り込んだ唯一無二のホテル「オークラ ヘリテージウイング」。これからのオークラブランドを表現した2つの建物の建築工事が進められている。1962年に「海外の模倣ではなく、世界に通じる日本独自のホテルの創造」を目指して、大成建設の創業者である大倉喜八郎の息子、大倉喜七郎によって創業されたホテルオークラ。自分が働く会社とルーツを同じくする特別なホテルの建築プロジェクトで活躍する4人の社員を追いかけてみる。

MEMBER

八木 謙太
建築(施工)
作業所長
八木 謙太
Kenta Yagi
1995年入社
星野 佑太
建築(施工)
課長
星野 佑太
Yuta Hoshino
2003年入社
手島 史惠
建築(設計)
アーキテクト
手島 史惠
Fumie Teshima
2010年入社
筒井 直央
都市開発
課長代理
筒井 直央
Nao Tsutsui
2008年入社

OUTLINE

プロジェクトに立ちふさがった半世紀前の都市計画

プロジェクトに立ちふさがった
半世紀前の都市計画

01

ホテルオークラ東京本館の建替計画の話が持ち上がった当初、すぐに計画を進めることができなかった。敷地全体が、行政による将来へ向けた都市計画において公園に指定されていたからである。何とか計画を実現すべく、都市開発部門の担当者として、行政機関との交渉役を任されたのが筒井だった。筒井は、半世紀以上も前の議会の議事録を引っ張り出し、その読み解きを試みたり、港区内のすべての公園の調査を実施したり…。できることはなんでも取り組み、懸命に糸口を探った。暗中模索の日々が続いたが、2013年末に光が差し込んだ。民間の力を活かし、公園づくりと都市開発を両立して推進する新しい制度が創設され、プロジェクトが進められる環境が整ったのだ。ただちに筒井は開発の内容を行政に説明し認可を得るための提案書のまとめに取り掛かった。施主の意向、社内の各部門の意見の整合をとりながら、建物自体の詳細な建築計画はもちろん、景観、風環境、交通、防災や福祉など、街づくり全体の視点から最適なプランをまとめて、期限までに行政に提出しなくてはならないという大変な業務だった。「大きなプレッシャーを感じたが、自分の成長につながる貴重な経験ができた」と筒井は当時を振り返る。

愛された建物を受け継いで未来に向けて生まれ変わらせる

愛された建物を受け継いで
未来に向けて生まれ変わらせる

02

2015年8月31日、解体工事を控えた旧ホテルオークラ東京本館の最終営業日。メインロビーでコンサートが開催され、多くの関係者が旧本館との別れを惜しんだ。その光景を見ていた設計担当の手島は、「多くの人たちに愛され続けた美しい建物の空気感を受け継ぎながら、新しいホテルとして生まれ変わらせるプロジェクトの一員であることを改めて実感し、身の引き締まる思いがした」という。新しいホテルオークラ東京本館の設計は、大成建設を含めた6つの設計事務所からなる設計共同体で行われている。そこには、手島が学生時代から憧れていた著名な建築家も、ホテルのシンボルであるメインロビーなどを担当する設計者として含まれる。基本設計段階では関係する各社が顔をそろえる会議が設けられ、手島も大成建設設計チームのメンバーとして参加した。「建築家の設計へ取り組む姿勢や想いを間近にして強い刺激を受けることができた」と手島はいう。現在、手島は建築関連の行政手続きとオフィスエリアの設計を担当している。新本館の計画では、一団地認定や容積認定、バリアフリー法認定など様々な制度を活用し、施主の要望を実現するために基本設計が進められた。そして、実施設計でより詳細に検討を行い、着工までの行政手続きを経て、工事部門につなげていく。

求められる条件や土地の環境に合わせ工事のストーリーを描く

求められる条件や土地の環境に
合わせ工事のストーリーを描く

03

本プロジェクトでは、通常は43カ月を要するとされる工事を37ヵ月でやり遂げる。そのために、工事の序盤では解体工事と新築工事が並行して進められる。「どのように解体しながら、どのように作っていくか」という工事のストーリーを作るのが作業所長の八木である。工事のストーリーを作る上で、大きなポイントとなったのが敷地内の高低差だった。最も高い地点と低い地点で約20mの差がある傾斜地で安全かつ短期間に工事を行うのは、そう簡単ではない。傾斜地という条件が難しい工事のひとつに、山留工事がある。新しい建物を作るにあたり地下を掘削する際には、周囲の土や水が地下に流れ込まないように掘削面に山留壁(仮設の壁)を設ける。その際、向かい合う2つの山留壁の間に支保工(支え棒)を通して山留壁が崩れるのを防ぐ。だが傾斜地では、2つの山留壁の間を支保工が安定して支えることができない。そこで八木は「古い建物の地下躯体を山留壁に利用する」「仮設RC(鉄筋コンクリート)壁を作る」など、独自の工事計画を練り、実行していった。八木は語る。「現場独立採算制のもと、自分たちで工事のストーリーを作り動かしていけることが大成建設の仕事の醍醐味だ」

ベストな選択を探りながら竣工に向けて工事を進めていく

ベストな選択を探りながら
竣工に向けて工事を進めていく

04

工事課長の星野は、八木に請われて、この工事現場にやって来た。八木が評価したのは、星野の経験や技術だけではない。「現場を明るくしたいという気持ちを前面に出す」「後輩の面倒をよくみる」「人をうまく動かす」といった人柄や働きぶりだった。打診を受けた時、星野は「日本有数のホテルの建替工事、しかも高低差約20mがある都心の傾斜地、大使館など重要施設に囲まれた立地など、難易度の高い工事に対峙できることにモチベーションが大いに高まった」という。星野は八木の期待通りに、旧本館の解体工事で中心的な役割を果たした。また続く新築工事では、地下工事の計画と実施を担当した。地下工事は通常、掘削して一番下の基礎を固めた後に、そこから上へと進められる。しかし今回は、「不安定な傾斜地で周辺の地盤への影響が抑えられる」「地下、地上工事が同時に行えるため工期が短縮できる」というメリットを重視し、地下工事を上から下へ工事を進める逆打ち工法が採用された。地下工事に続いて星野は、低層階の工事リーダーとして、本社、支店技術や構造設計部門と連携し品質・安全・工程・コスト面からのベストな選択を探りながら、躯体工事から内装工事までを担当することになる。

PROJECT FLOW

2013年頃~

都市計画・基本設計・
実施設計

都市計画や開発・建築の許認可に関する行政との協議や提案書の取りまとめが行われ、同時に本体の基本設計・実施設計が進められる。
2015.9~

解体工事

現地調査など工事の準備が行われ、旧本館が閉鎖された後、解体工事が始まる。
2016.6~

新築工事

地下工事を皮切りに「オークラ ヘリテージウィング」、「オークラ プレステージタワー」の新築工事が始まる。
2019.7

竣工

建物の竣工、お客様への引き渡しを経て、新ホテル「The Okura Tokyo」が9月12日開業。

OTHER PROJECT

PROJECT STORY 02
土木
Project of
武豊火力発電所リプレース工事
PROJECT STORY 03
事務
Project of
品川 港南一丁目地区業務施設・
住宅建設
その他工事プロジェクト