稲わらからのバイオエタノール製造技術開発
農水省「ソフトセルロース利活用技術確立事業」について
Development of System for Producing Bioethanol from Rice Straw
The Farm Ministry "Project for Developing Soft Cellulosic Resources Utilization Technology"
研究の目的
化石資源由来のCO2排出量削減を目的に,化石燃料の代替燃料として利用されるバイオエタノールは,その原料を食糧穀物から食糧と競合しないセルロース系バイオマスへとシフトする動きにあります。日本国内でその腑存量が多いソフトセルロース系バイオマスである,稲わらからバイオエタノールを製造する実証プラントを農林水産省「ソフトセルロース利活用技術確立事業」にて建設し,将来の大規模エタノール生産技術確立を目的に,エタノール生産の低コスト化,高効率生産を目指した実証実験を行っています。
技術の説明
アルカリによる常温,常圧の反応を前処理として取り入れることで,エタノールの原料となる稲わらのセルロースの酵素糖化効率を向上させます。また,酵素糖化とエタノール発酵を同一槽内で行う「同時糖化発酵」をプロセスに取り入れることで,設備の簡略化と酵素の濃度阻害を防ぎ,生産効率を向上させます。
主な結論
本製造実証プラントのプロセスにより,北海道産の稲わらを原料として使用し,エタノール含有量99.5%以上をはじめJASOが設定する全ての規格項目を満足する品質のバイオエタノールが生産可能であることを実証しました。今後はこの実証プラントを用いた実験により,生産の高効率化に寄与できる実験データを採取し,稲わらからのエタノール大規模製造プラントへのスケールアップ要素を明確にし,地域バイオマスを利用したエネルギー確保に貢献できる技術を確立します。
*2 環境本部 環境開発部