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外付けRC耐震補強工法の開発

部分架構実験による構造性能の検討

飯塚 崇文*1・谷口 俊恭*2・小室 努*2・成原 弘之*1・是永 健好*1

Development of a Reinforced Concrete Outer Frame for Retrofittings.

Evaluation of Seismic Performance based on the Results of Experiments on a Beam Column Subassemblage

Takafumi IIZUKA*1, Toshiyasu TANIGUCHI*2, Tsutomu KOMURO*2, Hiroyuki NARIHARA*1 and Takeyoshi KORENAGA*1

研究の目的

耐震補強工事は,建物利用者(および所有者)にとって,①室内床面積の減少,②工事中の建物利用上の制約,③振動・騒音等のデメリットが生じるために,補強計画が延期されたり,また,補強工事を行う際にも,利用者に負担の大きい工事内容となる場合が数多くありました。
そこで,ホテル建築物等を対象に,室内床面積を減少することなく,工事中の建物利用制約も少なく出来る建物外側補強法として,既存建物の外壁側の柱梁架構面に,鉄筋コンクリート造(以下,RC造という)の増打架構を外付けで一体化させるRC造耐震補強工法を考案し,開発を行いました。

技術の説明

主な特徴は,以下の5点です。
1)鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を対象とします。
2)外周の既存柱梁に取付けた補強筋をプレキャスト型枠で覆い,コンクリートを充填します(外付け補強)。
3)室内での工事が殆どないため,建物利用時の制限等が最小化されます。
4)あと施工アンカー工事が少ないため,振動・騒音等を低減することが可能です。
5)プレキャスト型枠の表面は様々な仕上が可能で,補強工事と同時に外壁のリニューアル工事が行えます。

主な結論

本補強法の有効性について,補強前の既存架構のみと補強後架構を模擬した構造実験を行い,増打架構の優れた耐震補強効果を確認しました。本工法は,建物を使用しながら耐震補強工事が可能であり,ホテル,病院等への適用が期待されます。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ