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MEMSセンサを用いた無線加速度センサシステムの開発

澤田 茉伊*1・志波 由紀夫*2・小国 健二*3

Development of Wireless Sensor System Incorporating an MEMS Accelerometer for Measuring Vibrations

Mai SAWADA*1, Yukio SHIBA*2 and Kenji OGUNI*3

研究の目的

構造物の多点同時振動計測をする場合,煩雑なケーブルの配線作業は多くの労力を要します。この作業をなくし,効率的な計測を実現するのが無線加速度センサシステムです。加速度センサおよび無線モジュールを搭載したセンサノードを測点に設置するだけで,多点同時振動計測をワイヤレスで行うことが可能です。加速度センサには,小型・安価なMEMS加速度センサを採用し,また測点間の時刻同期を高精度に確保する工夫をしました。

技術の説明

無線加速度センサは,マイコンにより自己を制御する自律的なセンサで,サーバからの無線指令によって動作します。収録した加速度データは,無線通信でサーバ(ノートPCに無線送受信機を接続したもの)に集められ,時刻同期処理が施されます。センサノード間の時刻同期は,2種類のタイムスタンプにより,個体差のあるマイコンのクロック誤差を補正する手法を用いています。本システムは,以下の性能を目標として開発しました。
・3軸MEMS加速度センサ実装(測定レンジ:±2G AD変換:16bit サンプリングレート:100〜1000Hz)
・測点間の時刻同期精度は1ミリ秒以下
・無線通信距離は見通し100m超(特定小電力無線使用)

主な結論

試作機を用いて,性能・動作の検証を行った結果,開発目標を達成することができました。今後,構造ヘルスモニタリングへの利用など,ワイヤレスであることを生かした活用を進めていきます。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 技術センター 土木技術研究所
*3 慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科