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常時振動監視システム概要と活用例

振動に配慮した施設に対する工事発生振動の制御手法

矢田 雅一*1・佐久間 政志*1

Micro-vibration Monitoring System for Facilities Sensitive to Vibrations

Application to Facilities near Construction Sites

Masakazu YATA*1 and Masashi SAKUMA*1

研究の目的

電子デバイス工場など振動制御がなされた施設に隣接して,新棟建設,既存棟解体,あるいは当該施設内での改修・実装などが行われる際に,工事により発生する振動を制御し,既存施設の振動環境を確保する必要があります。そこで,工事期間中の振動環境を常時監視し,生産環境を確保するために設定した閾値を超えるような振動が発生した場合,工事関係者に警報を流し,工事を一時中断させる本システムの必要性が生じました。

技術の説明

本システムは,常時,振動の周波数分析を行い,周波数データおよび時刻歴波形を自動的に記録することができます。データは,①指定した時間間隔ごと,②設定した閾値を超えた時,③観測者の手動による任意の時間,に対して記録されます。また,②の閾値を超えた場合には,工事関係者に警報メールを発信するほか,各所に設置したパトランプやブザーを作動させることにより,異常振動発生を伝えることができます。さらに,記録したデータの作図・出力などをする機能も有しています。本システムを活用することにより,工事期間中の異常振動発生を瞬時に確認でき,生産活動に影響を与えない工事を進めることができます。

主な結論

本システムは振動監視および警報発報が目的であり,導入により工事振動障害を撲滅できるわけではありません。工事期間中の振動制御を実施するため,本システムによる振動監視に加え,工事振動対策マニュアルの策定,作業員への周知徹底による意識改革,工事振動パトロールなどのソフト面を組み合わせることが,非常に重要です。

*1 技術センター 建築技術研究所 防災研究室