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表層を締固めた飽和砂地盤上の直接基礎建物を対象とした遠心振動実験

船原 英樹*1・柴田 景太*1・長尾 俊昌*1

Dynamic Centrifuge Tests on Building Supported by Spread Foundation on Saturated Sandy Ground with Compaction

Hideki FUNAHARA, Keita SHIBATA and Toshiaki NAGAO

研究の目的

地震時に液状化の恐れがある地盤において中小規模の建物を設計する場合,締固め地盤改良を施すことによって,杭基礎ではなく,直接基礎で建物を支持させる場合があります。この締固め地盤改良の施工深さを合理的に設定するための知見を得ることを目的に,遠心力場での模型振動台実験を行いました。

技術の説明

液状化しやすい地盤が有する3つの条件は,(1)「砂質土」で構成されており,(2)「ゆるく」堆積していて,(3)「地下水で飽和」されていること,です。これらのうち2番目の条件である「ゆるい」堆積状態を「密な」状態に締固めることによって地震時の液状化を防止しようという対策工法があり,広く用いられています。
この締固め地盤改良による液状化対策を設計・施工するにあたり,必要な対策効果は確保しつつ,施工範囲を合理的に設定することによってコストダウンを実現するための基盤技術を開発・整備しています。

主な結論

地盤の深い領域に未改良のゆるい地層を残しつつも,建物直下の浅い領域をある程度の深さまで締固めることによって,まったく締固め地盤改良を施さない場合に比べれば,地震時の直接基礎建物の沈下量を大幅に低減できることが確認されました。
今後は,より詳細な建物条件を想定し,地下水位や基礎の根入れ深さなどをパラメータにして,さらに検討を進める予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室