日射を考慮した非定常温熱気流解析手法の開発

非定常熱伝導解析機能の組み込みと住宅への適用

森川 泰成^＊１・大黒 雅之^＊２・佐藤 康弘^＊１

Development of Unsteady CFD Analysis in Consideration of Solar Radiation

Inclusion of Unsteady Conduction Analysis and Simulation of a Residential House

Yasushige MORIKAWA, Masayuki OGURO and Yasuhiro SATOH

研究の目的

筆者等は，これまで，定常状態を仮定した日射・放射・対流連成解析手法を開発し，屋外の温熱環境解析に適用してきましたが,更に表面温度の解析精度を向上させ，壁体等の蓄熱効果を考慮していくためには，非定常熱伝導を同時に解析する必要があります。また，建築における省エネルギーや快適性向上のためには断熱性・気密性能の評価が重要であり，壁体への蓄熱を伴う住宅内の非定常な熱的挙動の評価が重要となります。
以上のような背景から，本報では，屋外の温熱環境解析手法に新たに非定常解析機能を組み込むと共に，住宅への適用を試みた結果を報告します。

技術の説明

本解析手法は，日射・対流・伝導の連成解析による屋外環境解析のために開発されたものです。その構成は，短波・長波の相互反射をラジオシティー法（注）により解析し，対流や熱伝導を考慮して外壁の表面熱収支を解くことにより，表面温度分布を求めることができる日射解析部分と，その結果を境界条件とする非構造格子による流体解析部分の２つからなります。
注：各固体の表面を小領域に分解し,各面の反射・吸収率に基づき放射エネルギーの分配を解析する手法

主な結論

本報では，住宅の非定常解析を行うため，上記プログラムの日射解析部分に非定常熱伝導解析機能を組み込み，住宅の外壁の温度の変化を解析しました。外断熱仕様と内断熱仕様の住宅の簡易モデルを対象に解析を行った結果、妥当な結果が得られました。さらに，算出された外壁の屋外側表面温度を，詳細な住宅モデルの境界条件として外壁の屋外側に与え，非定常で外壁内部と室内の空気温度を解析し、熱挙動の違いを考察しました。