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「分散型エネルギーシステム総合評価プログラム」の開発

小柳 秀光*1・深尾 仁*1・杉本 賢司*2

Development of Comprehensive Evaluation System for Decentralized Energy System

Hidemitsu KOYANAGI, Hitoshi FUKAO and Kenji SUGIMOTO

研究の目的

2008年より京都議定書第一約束期間が始まり,温室効果ガス排出量の増加が著しい民生部門の削減に関する対策として,「分散型エネルギーシステム」が推進されています。一方,「分散型エネルギーシステム」は,規模が大きくかつ整備に時間を要する為,建設を行う前の計画や評価が重要ですが,環境性や経済性に関する評価手法が十分に確立されていない状況でした。
そこで,本研究では,需要家や事業主体にとって最適なシステムを検討する事を目的として,環境性・経済性評価プログラム(分散型エネルギーシステム総合評価プログラム)を開発しました。

技術の説明

本開発プログラムの特徴は以下の通りです。
(1) 多様なシステム検討が可能
   ・全ての分散型エネルギーの検討が可能(太陽光発電,風力発電,バイオマス,燃料電池など)
   ・電気と熱供給の両方の検討が可能
   例)マイクログリッド,地域冷暖房(CGS集中設置型,分散配置統合制御型など),燃料電池マンション
(2) 短時間で詳細な検討が可能
   ・1時間毎のエネルギー需給バランスを計算
   ・計算時間は1ケース1~5分程度

主な結論

本プログラムにより,地域の環境特性やエネルギー需要特性に合わせて,環境性と経済性の観点から最適な分散型エネルギーの組み合わせ,運転方法を短時間で正確に検討出来るようになりました。
本プログラムを用いた事業性評価業務は,平成20年7月時点で6件になっており,発注者も国,地方自治体,エネルギー会社と多岐にわたります。対象地域としては,少子高齢化のため,社会資本の維持費増大が問題となっている地方過疎地におけるマイクログリッド導入や需要家の変動によりシステムの非効率化が進行している地域冷暖房プラントの更新,都心部に立地する大学キャンパス,大規模な集合住宅などがあります。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 (株)タイセイ総合研究所