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建物配置計画が街区のCO2排出量に及ぼす影響

空調排熱連成による省エネルギー性と屋外温熱空気環境の総合評価

本橋 比奈子*1・大黒 雅之*1・深尾 仁*1

Study of Effects of Building Layout on Carbon Dioxide Emissions

Overall Evaluation of Building Energy Conservation and Outdoor Thermal Environment Considering Coupled Exhaust Heat of Air-Conditioning

Hinako MOTOHASHI, Masayuki OGURO and Hitoshi FUKAO

研究の目的

日本の都市部において,地球温暖化の影響に加え,ヒートアイランド現象が深刻化しており,熱中症患者が増大しています。中でも街区形態が屋外温熱環境に与える影響は大きく,風の道など屋外温熱環境や空気質を良好に保ち,かつCO2排出量が少ない省エネルギー性に優れた街区の検討が重要になります。そこで本研究では,外気や街区形状など周辺環境に応じた空調排熱量を算出するプログラムを開発しました。

技術の説明

ヒートアイランド解析では各種人工排熱量に相当する熱を設定しますが,従来,建物の空調排熱量については建物の用途や規模から一定値を設定していました。しかし実際は,同じ建物でも周辺環境によって空調排熱量は異なると考えられます。そこで,外気や街区形状など周辺環境に応じた空調排熱量を算出するプログラムを開発し,屋外温熱環境と連成させることにより,街区形態・断熱性・排熱形態が街区の省エネルギー性と屋外環境に与える影響について検討しました。

主な結論

容積の等しい建物を,空地を設け建てた場合,空調排熱量は敷地面積最大に建てたケースより1割ほど増加しました。従来はこのような差を計算することができず,空調排熱負荷は均一に与えるのみでした。空地を設け,更に断熱性を高めた場合,空調排熱量及び屋外温熱空気環境共に良好となる結果を得ました。
今後,都市の高密度建築地域や地方の広大な敷地に建設する場合など,それぞれの立地環境に応じた空調排熱量および温熱環境の把握に役立つと考えられます。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室