FM導入物語

第2話 強みを活かすFM

つかめぬニーズと見えない方向性

  
医薬品メーカーB社で懸念されている案件。それは会社にとって生命線ともいえる、研究所の老朽化と耐震性への不安だった。その対策プロジェクトの担当者に任命されたのが経営企画部の岸本なのだが、そもそも判断材料が乏しい現状では、建替え、リニューアル、移転のどういった方向で計画を進めればいいのか、決断を下すことができない。また、各部署の知り合いに話しを聞いてみても、様々な要望が上がるばかりで、まったく施設方針がまとまらず、社内の意見調整の難しさを早々と痛感していた。そこで、以前、別の自社ビルの設計・施工を大成建設に依頼したことがあったので、岸本は今回の件も大成建設に一度相談してみることにした。

明確なコンセプトを打ち出す手法

  
打ち合わせにやって来た大成建設の岩崎に、岸本は頭を悩まされている現状について説明。すると岩崎は、大成建設独自のインタビュー手法だという「T−PALET」を提案した。なんでも臨床心理学をベースとした評価グリッド法(パーソナルなインタビューで、人間が何を知覚して、どのような評価をくだしているか、という認知構造を表現できる手法)をさらに発展させた手法で、関係者が抱える潜在的ニーズを抽出できるというのだ。とはいえ、果たして本当にその手法で方向性が見えてくるのか、しかも社外の人間に社内の調整ができるのか、との疑問を口にした岸本だが、「逆に第三者の我々が話を伺うほうがいいんですよ。しがらみや損得がまったくありませんから。それに客観的にファシリティのプロとして、何がベストかを見極めることができますし。」という岩崎の言葉に不安も解消。早速、「T−PALET」の実施を依頼することにした。

プロのスキルに触れ、高まる期待

  
「研究所に勤務する社員を10数人、年齢や性別、部署などに偏ることなく人選してください。」という岩崎からの要望に沿って、岸本はメンバーを選出。そうして1人につき約45分のインタビューが実施され、後日岩崎から「T−PALET」の報告書が提出された。自らが行ったヒアリングは、あらゆる意見を聞かされて混乱するだけだったのだが、この報告書には岸本が引き出すことができなかった様々な潜在的なニーズや、業務ベースや環境ベースごとの現状や問題点が整理され、施設計画の方向性がわかりやすく提示されていた。「これは、あくまでもニーズです。ここから何を取り入れるかは、ディスカッションしながら決めていきましょう。」

この報告書をもとに岸本と岩崎は、社内のプロジェクト関係者と議論を重ね、その結果、研究所のリニューアルを前提に計画を進めていくことを決定。さらに、研究所の劣化状況や耐震性能などを確認するハード診断が行われ、該当施設のリスクなどがまとめられたエンジニアリングレポートが岩崎から提出された。

そして研究所のリニューアルに関するシナリオも岩崎から受領。そこには「T−PALET」で明確になったニーズとそのコンセプトが、実際の利用シーンを想定したストーリーとなって表現されていた。例えば「20人ほどが自由な雰囲気で打ち合わせができる会議室は、壁面すべてがスクリーンにもホワイトボードにもなり、プロジェクターで投射した画面に書き込むこともできる。」と、一読するだけで情景が湧き上がってくるような内容だった。

「T−PALET」によるニーズの抽出、議論を積み重ねることによる方向性の決定、そして関係者がイメージを共有できるシナリオの作成。「コンセプト&プランニング」と呼ばれる大成建設のこれら一連の手法に、十分な手応えを感じ取った岸本は、知らず知らずのうちに期待に胸を膨らませていた。

その後も、戦略・計画レベルでの大成建設のサポートにより、研究所のファシリティ戦略策定や最適な計画条件などが着々と完成。岸本は、これまでの仕事ぶりを評価し、これから行っていく設計や施工も、引き続き大成建設へ依頼することに決めた。

完成後、思わぬ効果まで派生

  
企画・設計から施工までを大成建設に一貫して任せたことで、コンセプトなどがブレることもなく、新しく生まれ変わった研究所が完成。研究所で働く社員への事後調査の結果、評判も上々のようだ。おまけに嬉しい誤算というべきか、「T−PALET」の参加者はもちろん、他の社員の仕事に対するモチベーションも上がっているらしい。岸本は、自身の業務の負担が軽減されたことは言うに及ばず、最適ともいえるソリューションが実現したことを、しみじみと実感。岩崎からの「今後も定期的な「T−PALET」を実施してみてはいかがでしょうか?」との提案を喜んで受け入れたのは言うまでもない。


今回実施したサービス
  • ニーズ調査
    経営層をはじめ、各部署の社員や関係者の方々に対して、それぞれの「思い」をインタビューし、真のニーズを分かりやすい要件に整理します。
  • 要求条件作成(プログラミング/ブリーフィング)
    ニーズ調査、現状調査を通じて入手した情報を、蓄積された独自のデータベースを基に整理し、要求条件をシステマティックに設定します。

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