インダス文明 水の要塞都市 ドーラビーラー 紀元前2600年頃
悠久の時を刻む大河インダス・・・。
約四千五百年前、この川のほとりに文明を築いた人々がいました。彼らは巧みに船をあやつり、川を自在に行き来し、やがて大海原へと乗り出したのです。
彼らが残した遺跡の一つに水の要塞都市ドーラビーラーがあります。ドーラビーラーには、水にこだわりを持つ独特の設計が施されていました。

水を満々と湛えた貯水槽・・・。これは四千五百年前のインダス文明における中心都市ドーラビーラーの風景です。
いくつもの貯水槽が街全体を取り囲んでいます。
街は、東西に七百八十メートル、南北に六百三十メートル広がっていました。二万人近い人々が暮らしていたと推定されています。

街は、市街地と城塞部に分かれていました。
城塞部は、高さ十五メートルの壁で囲まれています。
そして、東西南北の四カ所に門が設置されています。
儀式を執り行った広場に面している北の門が正面玄関に当たります。

城塞部は、ドーラビーラーの政治と経済の中心です。それに相応しく公共の建物が建ち並び、水道が縦横に走っていました。
さて、雨が少ないこの地で、街を取り囲む巨大な貯水槽は、どのようにして大量の水を確保出来たのでしょうか?

ドーラビーラーの人々は、ダムを造っていました。
せき止められた水は、水路を通って貯水槽へと流れて行きます。
例えダムから水があふれても、すべて貯水槽に集まる仕組みです。
ドーラビーラーは南西に向かって十三メートルの高低差があります。
貯水槽の底は、自然の岩盤をそのまま使っているため、ゆるやかに傾斜しています。
水は、高い貯水槽から順番に貯まるように工夫されていました。

こうして、雨が少ないドーラビーラーでも一年を通して農業を営み、暮らして行くことができたのです。
貯水槽がすべての水で満たされたとき、ドーラビーラーはあたかも水上都市のように見えました。

城塞部に降った雨水は、すべてこの水道に流れ込みます。
集められた水は、水道を通じて、城塞の外側にある雨水専用の貯水槽に貯められる構造になっていました。
神聖な空間である城塞部に降った雨は、それ自体が特別なものと考えられていたのかもしれません。
こうして、ドーラビーラーの人々は、川がもたらす水と雨水とを厳密に区別していたのです。

城塞部にはもう一つ、特別な水の施設がありました。
井戸、そして沐浴場です。

四千五百年前、インダスの人々は、きわめて高度な都市文明を生み出していました。
北の門に掲げられた十文字の看板。ここには、ドーラビーラーに君臨した権力者たちの名が記されていたのかもしれません。
インダスにおいて牛の角をあしらった被り物は権力者のシンボルとされていました。
聖なる水の都、ドーラビーラー。この地を治めた権力者はどんな力を背景とした人たちだったのでしょうか?

長い間、謎の文明とされてきたインダス。それはペルシア湾岸地域やメソポタミア地域との交易によって栄えた文明でした。

ドーラビーラーは、ガッガルハークラーの河口、海の玄関口に位置しています。
川と海、両方の交易路を結びつけ繁栄を極めた都市だったのです。
 
インダス文明ミニガイド
 
乾季と雨季でまったく異なる二つの表情を持つカッチ湿原。そこに水の要塞都市と呼ばれる遺跡ドーラビーラーがある。真っ白な塩の大地に築かれているこの都市には、水にこだわりを持つ独特の設計が施されていた。

古代インダスの人々は非常に交易にたけた人たちでした。彼等は船を巧みに操り、川を自在に行き来し、やがて大海原へと乗り出して行きました。ここで紹介するドーラビーラーも海の交易で栄えた都市の一つだと考えられています。インダス文明の都市はどれも、城塞部と市街地という二つのエリアに分かれています。そして、水道と井戸を備えた計画都市として造られています。勿論ドーラビーラーも例外ではありません。
満々と水を湛えた貯水槽の描写から映像は始まります。いくつもの貯水槽が街全体を取り囲んでいます。貯水槽のすべてが満たされたとき、ドーラビーラーはまるで水上都市のように見えました。
ドーラビーラーの人々はダムを建設し、川の水を貯水槽へと集めます。雨の少ない地域で生活・農業用水を確保するための当然の方策でした。貯水槽の底は自然の岩盤であり、ゆるやかな傾斜がありました。集められた水は高い貯水槽から低い方へと順々に貯まって行き、やがてすべての貯水槽が水で満たされるのです。
城塞部に降る雨水が城塞部専用の貯水槽に集められるプロセスもきめ細かく再現されています。高度なCGによる精緻描写は、城塞部の壁のディテールから周辺の木々、はるかに広がる遠景の処理、空を行く鳥にまで行き渡っており、1967年に発見されたばかりのこの新しい遺跡を見事に甦らせています。
 


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