現実には存在しない事物や情景をコンピュータの空間で構成し、リアルな映像として作り上げるCG(コンピュータ・グラフィックス)の世界。映画、CF、ゲームなどですでに身近な存在ですが、この表現技術は、日進月歩の勢いで進化し続けています。CGでは現実に存在しないものでも表現することができ、また視点の移動も自由に行えることから、通常のカメラワークでは不可能な映像空間を創出することができます。
大成建設は、この技術が持つ可能性にいち早く着目し、独自の研究を行ってきました。そして、これから建設される建造物がどのような形態と機能を持つかを施主や近隣の人々にあらかじめ説明するプレゼンテーション用ツールとして、また、ますます高度・複雑化する施工技術や手順を工事関係者が共有するためのシミュレーションとして活用し、大いに成果を上げてきました。
さて、この技術を用いれば、現在は存在しない古代文明や都市の構造もリアルに復元することができます。学術的探求によって得られた図面や資料、情報をもとに模型を造り上げるように三次元の物体として構成することができるのです。その表現は、建築構造物の正確な再現に止まりません。窓や壁、什器や床材の色彩、材質感にいたるまで、本物と見まがうばかりのリアリティを実現し、同時に構造物の周辺、つまり、道路や川、橋、そして空や海といった大空間までも見事に再現してみせます。
さらに、高度なコンポジション(合成)技術にも着目してください。ハイビジョン用の新作であるメソポタミア文明とインダス文明、また、秦の始皇帝の陵墓再現では、CG映像と人や動物などを実写した映像が素晴らしいクオリティで合成されています。それはたゆたう煙や人の髪の毛までも違和感なく背景と溶け込ませるほどであり、古代の人々の生活感を演出する上で大きな支えとなっています。現代建築の価値を多くの人と共有するために指向されたCGシミュレーションは、古代の文明を再現する試みへと発展しました。そして、それは今、いにしえの人々の息吹までも甦らせ、私たちを悠久の時へと誘うのです。