48

低炭素街区・都市総合シミュレータの開発

システム全体像と2010年版の概要

小柳 秀光*1・大黒 雅之*1・庄司 研*1・本橋 比奈子*1・森川 泰成*2

Development of Comprehensive Simulator for Low Carbon Districts

Outline of System and 2010 version

Hidemitsu KOYANAGI*1, Masayuki OGURO*1, Ken SHOJI*1, Hinako MOTAHASHI*1 and Yasushige MORIKAWA*2

研究の目的

建物や街区の低炭素化へ向け,建物の省エネルギーに加え,建物形態等による温熱環境改善(周辺環境の対策),エネルギーの面的利用やスマートグリッド等によるエネルギー利用の効率化と再生可能エネルギー利用の拡大(エネルギー対策)が必要といわれています。そこで,総合的な低炭素街区の計画を可能にすることを目的として,気流・温熱環境解析とエネルギー解析を連動させ,周辺環境やエネルギー,CO2を可視化することが可能な「低炭素街区・都市総合シミュレータ2010」を開発しました。

技術の説明

本システムの特長は以下の通りです。
①周辺環境やエネルギー対策を考慮して街区からのCO2排出量を算定し,総合的に低炭素街区を提案します。
②周辺環境を反映して建物の熱負荷計算,太陽光発電・風力発電の発電量計算を行います。
③エネルギーの面的利用やスマートグリッドの検討が可能です。
④バーチャルリアリティを活用して,CO2の原因から結果までを可視化します。

主な結論

本システムにより、建物の省エネルギーに加え,周辺環境の対策やエネルギー対策を含めた総合的な低炭素街区の提案が可能になりました。また,周辺環境の実態を反映した建物の熱負荷計算,太陽光発電・風力発電の発電量計算,スマートグリッドやエネルギーの面的利用の検討が可能になりました。今後は,CO2削減が急務であるデータセンターや都市再開発,新興国での環境共生都市開発などに適用していく予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 技術センター 建築技術研究所