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リスクを考慮したアセットマネジメント支援システムの開発

確率論的時系列シミュレーション手法に基づく方法論と支援システム

堀 倫裕*1・畑 明仁*1

Development of Asset Management Support System Incorporating Risk Evaluation

Methodology and Support System Based on Probabilistic Time Series Simulations

Michihiro HORI*1 and Akihito HATA*1

研究の目的

近年,社会資本ストックの増大と老朽化の進展,予算の逼迫等を背景に,アセットマネジメント(以下,AM)の必要性が高まりつつあります。AMの導入効果を現実のものとしていくためには,対象施設群に関する膨大な情報を効率的に活用しつつ,政策決定に必要な多様な意思決定支援情報を出力できる,実用的なAM支援システムの開発が不可欠です。本研究は,効率的かつ持続的な施設群の運営管理に資するAMの方法論の構築と,これに基づくAM支援システムの開発を目的としたものです。

技術の説明

本研究で開発したAM支援システムは,劣化や補修による構造物の状態の経年変化や,これに伴うコスト・リスクの発生を,不確実性も考慮した上で時系列的に追跡するシミュレーション技術をベースとしたものです。「最適点検・補修政策の選定」といった個々の施設レベルの検討から,「予算制約下の対策優先順位の検討」や「予算案の検討」といった施設全体のマネジメントレベルの検討まで,経年劣化に伴う損傷リスクを考慮しつつ,一体的に検討できる点が,本システムの大きな特徴となっています。

主な結論

本システムをはじめとするAM関連技術の研究・開発と,実構造物への適用を通じた技術の改良に,長年にわたって取り組んできました。これらの検討を通じて,本システムの適用性・有用性は,概ね確認できたものと考えています。「社会インフラのリニューアル時代の本格的到来」が予見される中,当社の保有する様々なハード技術とあわせて,本システムを有効に活用していく予定です。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室