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傾斜角度の小さい太陽電池アレイに作用する風力特性

地上設置型の場合

相原 知子*1・寺崎 浩*1・中村 良平*1

Characteristics of Wind Force Acting on Gently Angled Photovoltaic Array

Study of Photovoltaic Array on the Ground

Tomoko AIHARA*1, Hiroshi TERAZAKI*1 and Ryohei NAKAMURA*1

研究の目的

近年,地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出削減対策として,太陽光発電の導入が期待されています。太陽電池は太陽電池セル(10〜15cm角程度)が最小単位となり,セルを数十枚程度接続したものを太陽電池モジュール(1m角程度)と呼び,モジュールを接続して大型パネル化したものを太陽電池アレイと呼びます。この太陽電池アレイに作用する風力係数の近似式が与えられているJIS C 8955では,アレイ面の傾斜角度θが15度未満の太陽電池アレイを対象外としています。しかし,東京や大阪等において太陽電池の発電量がほぼ最大となるθ=30度のアレイを配置するよりも,θ=5度のアレイを配置する方が,同じ敷地面積では約1.8倍の発電量を得る事が可能です(アレイの設置数は約2倍,発電量は約0.9倍)。また,θを小さくするとアレイに作用する風荷重の緩和が推測されます。そこで,θが15度以下のアレイに作用する風力特性の把握を目的として風圧実験を行いました。

技術の説明

風圧実験とは,縮尺模型に作用する風圧力を風圧計によって測定する実験です。模型の縮尺率に応じた自然風を風洞内に模擬することにより,精度の高い実験結果を得る事が可能となります。本実験では長さの縮尺率を1/35とし,アレイに作用する風力(アレイの上面圧と下面圧の差圧)特性を把握しました。

主な結論

太陽電池アレイの傾斜角度θが15度,10度,5度の太陽電池アレイを単独で設置する場合とθが5度の太陽電池アレイを複数配置する場合において,各々の太陽電池アレイに作用する全風向中最大・最小の風力係数を得ました。その結果,θを小さくすることでアレイに作用する風力が低減することや,θ=5度のアレイを複数配置する場合に風力が低減する領域を確認することが出来ました。なお,本研究は,環境省平成21年度地球温暖化対策技術開発事業『埋立終了後の最終処分場上部を活用した太陽光発電システム実用化に関する技術開発』による成果の一部です。

*1 技術センター 建築技術研究所 防災研究室