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東海・東南海・南海連動地震の長周期地震動シミュレーション

関東・濃尾・大阪平野における長周期地震動予測

山本 優*1・吉村 智昭*1・七井 慎一*2

Long-period Ground Motion Simulation of Tokai-Tonankai-Nankai Coupled Earthquake

Prediction of Long-period Ground Motion Considering the Kanto, Nobi, and Osaka Basins

Yu YAMAMOTO*1, Chiaki YOSHIMURA*1 and Shinishi NANAI*2

研究の目的

東海地震,東南海地震,南海地震といった南海トラフ沿いの巨大地震では,周期数秒〜十数秒の長周期地震動が発生すると考えられます。長周期地震動は,長い距離を減衰することなく伝播し,さらに平野の堆積構造により増幅されます。このため,平野の都市部において超高層建築物や免震構造物,石油タンクなどの固有周期の長い構造物を大きく揺らすと考えられます。このような長周期地震動を数値シミュレーションにより算定しておくことは,構造物の設計や耐震補強,あるいは防災対策上重要です。

技術の説明

本技術は,平野規模の地盤をモデル化し,大規模有限要素法(FEM)により、巨大地震の地震波が複雑に伝播する様子をスーパーコンピューターで数値シミュレーションする技術です。我が国の三大都市圏であり,多くの重要構造物が立地する,関東,濃尾,大阪平野を含む大領域の地盤モデルを構築しました。本検討では,南海地震の西端から関東平野の東端までを含む864km×300km×50kmの範囲をモデル化し,大規模FEMによる計算を実施しました。

主な結論

このモデルを用いて,東海・東南海・南海連動地震のシミュレーションを行いました。関東平野,濃尾平野,大阪平野の中心部で,全国一律に用いられる告示スペクトルを上回る長周期地震動が計算されました。ここで得られた長周期時地震動は,超高層ビルや免震建物などの設計で重要な役割を果たします。

*1 技術センター 建築技術研究所 防災研究室
*2 技術センター 技術企画部 情報技術室