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シールドマシンにおけるビットリユース技術の開発

使用済みビットの健全性診断技術

高倉 克彦*1・森田 泰司*1・佐々木 誠*2・糸平 圭一*3

Development of Technique for Reusing Shield Tunneling Cutter Bits

Method for Evaluating the Performance of Used Cutter Bits’

Katsuhiko TAKAKURA*1, Yasushi MORITA*1, Makoto SASAKI*2 and Keiichi ITOHIRA*3

研究の目的

シールド工法に用いられるシールドマシンでは,レアメタルである超硬合金を先端部に配置したカッタービット(以下,ビットと略す)が地盤を切削していきます。そして,掘進を終えるとビットはスクラップ処分されるのが一般的です。しかし,掘進を終えたビットの目視観察では,ビット先端の超硬チップに割れや欠けがなく,磨耗量が少ないものも多く,リユースに供することが十分可能と考えられます。使用済みのビットをリユースするにあたっては,リユースする工事に必要となる性能がそのビットに備わっていることを明確にする必要があるため,使用済みビットの健全性を診断する技術の開発を行いました。

技術の説明

使用済みビットの強度の評価指標として,超硬合金を取り付けるために行われるろう付部の疲労強度を取り上げています。疲労強度を指標としたのは,ビットが地盤の掘進中に受ける荷重作用が繰返し荷重と考えられることからです。また,ろう付面に空隙が存在することが確認されたため,この空隙のろう付面全体に対する割合を考慮してろう付部の疲労強度を評価します。
ビットに作用する荷重は地盤を切削するために必要な力であり,地盤の強度に相当すると考えられることから,ビットに作用する荷重とろう付部の応力を載荷実験や構造解析などによって関連付けました。

主な結論

ビットの強度面での安全率は非常に高く,ビットリユースの可能性は大いに高まりました。今後,非破壊検査による診断の効率化ならびにリユースビットの試験施工を行っていく予定です。

*1 技術センター 土木技術開発部 地下空間開発室
*2 (株)丸和技研 技術営業グループ
*3 福岡県工業技術センター 機械電子研究所