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シールド地上発進実験およびその影響評価手法の開発

土被りゼロからのシールド発進技術により工費・工期を削減

坂井 一雄*1・飯島 知哉*2・川北 潤*3・廣冨 聡*4・小池 真史*5

Demonstrative Launching of a Shield Machine from Ground Level and Its Numerical Simulation

Curtailment of the Work Period and Reduction of the Construction Cost with a Launching Method of a Shield Machine from Ground Level

Kazuo SAKAI*1, Tomoya IIJIMA*2, Jun KAWAKITA*3, Satoru HIROTOMI*4 and Masashi KOIKE*5

研究の目的

近年,道路トンネルを中心にトンネルのアプローチ部(地上部もしくは半地下部)よりシールド機を発進することで,大規模な立坑が不要になり,工費の低減および工期短縮を図る技術が注目されています。このニーズに対応するため,地下水位の高い沖積砂層地盤において,実際のシールド機を用いて地上発進実験を実施しました。また,シールド掘進時の地盤の掘削影響範囲などを精度良く予測することを目的として,施工条件や施工手順を忠実に反映することができる三次元逐次掘削解析手法も併せて開発しました。

技術の説明

実験では,①周辺地盤の拘束が少ない状態でのシールド機のコントロール,②周辺地盤の変形状況,③セグメントの浮き上がり,などに関する詳細なデータを取得することができました。また,三次元逐次掘削解析手法を用いた再現解析を実施したところ,実験で取得した地表面沈下や側方水平変位などを定量的に再現できました。

主な結論

実験により,自立性の低い滞水砂層地盤におけるシールド地上発進技術を確立することができました。また,シールド掘進時の地盤変状を精度良く予測できる三次元逐次掘削解析手法を開発しました。今後は実際の道路や鉄道などの地上発進方式のシールドトンネルに対し,今回開発した技術を適用していく予定です。

*1 技術センター 土木技術研究所 地盤・岩盤研究室
*2 土木本部 土木技術部 都市土木技術室
*3 技術センター 土木技術開発部 地下空間開発室
*4 東京支店 西新宿シールド作業所
*5 原子力本部 原子力技術第三部