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後施工プレート定着型せん断補強鉄筋の適用範囲の拡大

本谷 幸康*1・岡本 晋*2・福浦 尚之*1・三桶 達夫*1・堀口 賢一*1・府川 徹*2

Expansion of Applications for Post-Head-bar

Yukiyasu HONTANI*1, Susumu OKAMOTO*2, Naoyuki FUKUURA*1, Tatsuo MIOKE*1, Kenichi HORIGUCHI*1 and Tohru FUKAWA*2

研究の目的

旧耐震設計法によって設計され現在供用されているコンクリート構造物では,レベル2地震動を受けた場合に部材のせん断耐力・じん性能が不足するものが存在します。このような既設コンクリート構造物に対して効果的なせん断補強が可能な後施工プレート定着型せん断補強鉄筋「Post-Head-bar」が開発されています(※2010年8月1日現在 施工中案件を含め68件,約96,000本の適用実積)。本研究ではPost-Head-barの適用範囲拡大のため実施された太径鉄筋および高強度鉄筋を用いた各種性能確認実験結果から,せん断耐力および変形性能の向上効果を合理的に評価する手法を提案することを目的としています。

技術の説明

Post-Head-barは鉄筋の両端に鋼製プレートを接合したもので,主鉄筋と配力鉄筋のおおよそ中間位置を削孔して後施工により配置し,専用グラウトを用いて固定するものです。Post-Head-barの手前側には矩形プレートを摩擦圧接により接合し,埋込側には削孔径により大きさを調整した小型の円形プレートを同様に接合します。この両端のプレートによって,孔内での後施工せん断補強鉄筋先端の定着性を増大させ,せん断補強効果を発揮します。

主な結論

Post-Head-barの適用範囲拡大のために実施した各種性能確認実験結果より,鉄筋径D13〜D32および鋼種はSD390までの範囲において,補強後のせん断耐力および変形性能を以下の方法で評価できます。今後,この評価方法を建設技術審査証明に反映する予定です。
① 補強後のせん断耐力向上効果は,適用部材の主鉄筋間隔とPost-Head-barの必要定着長から算出される有効係数を用いて評価できます。
② 補強後の変形性能は,上限値を設けた一定のせん断補強鉄筋量を配置したRC部材と同等として評価できます。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 成和リニューアルワークス(株)