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超高層集合住宅を支持する直接基礎の沈下挙動

沈下予測と沈下計測

堀井 良浩*1・渡邊 徹*1・長尾 俊昌*1・服部 敦志*2・寺嶋 知宏*3・原 孝文*2・柳澤 忠義*4

Settlement Behavior of Raft Foundation For Super High-rise Condominium

Estimation and Measurement

Yoshihiro HORII*1, Toru WATANABE*1, Toshiaki NAGAO*1, Atsushi HATTORI*2, Tomohiro TERASHIMA*3, Takafumi HARA*2 and Tadayoshi YANAGISAWA*4

研究の目的

直接基礎は,建築物に作用する荷重を基礎スラブを介して地盤に直接伝える基礎形式です。支持層が地中浅い場合に適しており,地中深くまで杭を打設する杭基礎に比べて,コスト,工期などが少なくて済みます。いずれの基礎形式を採用する場合も,所定の支持力を確保させ,かつ沈下が許容値以下となるように設計することが大切になります。今回,基礎面積あたりの重量が0.8MN/m2にもなる地上43階建ての超高層集合住宅(鉄筋コンクリート造)を支持する直接基礎の沈下予測を行い,その検証と基礎構造の品質確認のための沈下計測を行いました。

技術の説明

直接基礎の沈下は地盤を弾性体とみなした解析によって予測可能です。当社は,予測精度を左右する地盤のヤング係数(かたさ)をそのせん断波(地盤内を伝わる横波)の速度,施工時の圧力の変化とひずみの変化などから評価する手法を開発しています。本技術はこれまでに超高層事務所(鉄骨造)など多数の適用実績があります。

主な結論

沈下計測の結果,本基礎の最大沈下量が24mmで基礎スラブ下の水圧を無視した予測値の8割に留まり,また地下1階の相対沈下が概ね予測通りになるなど,予測が妥当であることを確認しました。本技術は,大重量建築物の基礎構造の合理化技術としての展開が今後も期待されます。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ
*3 名古屋支店 設計部
*4 東京支店 赤坂四丁目薬研坂南地区市街地再開発作業所