杭頭半剛接合構法を採用した杭基礎建物と液状化地盤の模型振動実験
Shaking Table Test of Pile-supported Building Model with Semi-rigid Pile Head Connections in Liquefiable Soil
研究の目的
杭基礎の耐震性を向上させ,コスト縮減や掘削残土の低減が可能な杭頭半剛接合構法「F.T.Pile構法」を開発し,数多くの物件に適用しています。杭頭半剛接合構法は杭頭部の回転を許容しているため,基礎の変形が大きくなる特徴があります。そのため,地震時に液状化などの地盤変状が生じる敷地で採用する場合には,その影響を考慮した設計が必要となります。本研究の目的は,杭頭半剛接合構法を採用した建物の液状化地盤における地震時挙動を解明し,液状化地盤における杭基礎建物の合理的な設計方法を構築することです。
技術の説明
遠心力載荷装置を用いて,液状化地盤における杭基礎建物模型の振動実験を実施しました。試験体は,杭頭接合部を半剛接合構法とした試験体と,従来工法である剛接合とした試験体の2種類です。実験では,建物の加速度や地盤の過剰間隙水圧,杭のひずみ,杭頭回転角など合計60点以上の計測を実施しました。
主な結論
実験結果から,液状化地盤における杭頭半剛接合構法の杭被害軽減効果を示しました。また,杭頭半剛接合構法を採用した建物では,地盤と建物の連成系の周期が延び,液状化地盤と杭基礎建物の相互作用により消費されるエネルギーが大きい傾向を確認しました。その結果,杭頭半剛接合構法を採用した建物では,上部構造物の加速度応答が減少しました。建物・地盤条件,入力地震動等さまざまな条件において,これらの現象を把握・評価し,杭基礎建物全体の耐震性の向上へ繋げて行きたいと考えています。
*2 東京工業大学 大学院