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梁側面が柱側面を越えて偏心したRC造柱梁接合部の構造性能

杉山 智昭*1・成原 弘之*1・山川 慶二郎*2・西川 泰弘*2・勝田 庄二*2

Structural Performance of Highly Eccentric Reinforced Concrete Beam-column Joints

Tomoaki SUGIYAMA*1, Hiroyuki NARIHARA*1, Keijiro YAMAKAWA*2, Yasuhiro NISHIKAWA*2 and Shoji KATSUTA*2

研究の目的

環境問題への取り組み等から建築物の長寿命化が可能な自由度の高い空間(大空間)を有し,事業継続(BCP)に容易に対応できる建築物の要望が高まっています。当社では,これらに対応する経済的・意匠性に優れた技術の一つとして,上部架構の外殻を鉄筋コンクリート造のスリム板状柱と梁で構成し,免震層を用いた「TOLABIS」架構を提案しています。本架構では柱幅が小さいため,外装材との納まり等から梁芯と柱芯が大きく偏心した形状となる場合があります。そこで,本研究では,梁側面が柱側面よりも突出した柱梁接合部構法の開発を目的としています。

技術の説明

開発しました偏心柱梁接合部構法は,補強筋により接合部を補強して構造性能を満たすようにしています。従来の鉄筋コンクリート造架構では,梁側面の位置が柱幅の範囲内に制限され,梁側面位置によって柱断面を大きくする必要がありました。これに対して,本柱梁接合部構法では,梁側面が柱側面を越えて外側に配置することができるため,柱と梁の断面サイズを必要最低限のサイズで構成することが可能となり,架構計画の自由度が増します。また,空間的に柱型を出さないフレキシブルな室内空間(大空間)を実現できるだけでなく,外観においてもスリム板状柱を生かした外壁面(ファサード)の提供を可能としています。

主な結論

本偏心柱梁接合部を有する部分架構の構造実験を実施して,梁の偏心が架構および接合部の構造性能に与える影響を把握しました。さらに,実験結果の分析より接合部強度等の構造性能評価手法を構築しました。今後,「TOLABIS」架構の実施時に本接合部構法の適用を進めるとともに,適用範囲の拡大を目指していく予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部