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UFC(ダクタル)を用いたGSE橋梁の設計と実験

世界最大規模のUFC道路橋

武者 浩透*1・渡辺 典男*2・福原 哲*3・大澤 和也*1

Design and Experiments of GSE Bridge Using UFC Girders

The World's Largest UFC Road Bridge

Hiroyuki MUSHA*1, Norio WATANABE*2, Tetsu FUKUHARA*3 and Kazuya OSAWA*1

研究の目的

超高強度繊維補強コンクリート(UFC:ダクタル)は,その超高強度を活用することにより軽量で長スパンな構造物が可能であり,その適用事例は橋梁を中心に徐々に増えつつあります。しかしながら,その適用は中規模の歩道橋に留まっており,UFCを本格的な道路橋へ適用するには,大きな荷重に対応した設計手法や部材の構造などの開発が必要でした。今回,このUFCを羽田空港内の橋長48m,有効幅員15mのGSE橋梁に適用するのに際し,様々な設計検討を実施し,FEM解析や各種構造実験によってその設計手法や開発した接合部構造の検証を行いました。

技術の説明

GSE橋梁では,床版に従来の場所打ちコンクリートを用い,主桁部にUFCプレキャスト桁を採用しており,コンクリート床版とUFC桁とを堅固に結合する構造が必要でした。そのため,UFC桁の上部にツインの孔開き鋼板ジベル(PBL)を配置し,床版と結合する構造を開発いたしました。また,UFC桁同士の結合には大型のせん断キーを有する場所打ちUFCを用いる工法(ウェットジョイント工法)を採用しました。これらの結合構造がGSE橋梁に作用する大荷重に耐え得ることを確認するため,FEM解析と大型の構造実験を行い,両構造とも高い耐力があることを検証し,十分に安全な構造であることを確認しました。

主な結論

GSE橋梁ではUFCの採用により,桁高を従来のコンクリート橋に比べ80%の高さに抑え,同時に40%もの軽量化を実現しました。このたびの開発により,世界最大規模のUFC道路橋が実現し,今後におけるUFCの大型橋梁適用への大きな足掛かりとなると期待しております。今後も,UFC(ダクタル)技術のパイオニアとして,UFCを活用したコンクリート構造物の新しい形を提案していきます。

*1 技術センター 土木技術開発部 土木技術開発プロジェクト室
*2 名古屋支店 土木部 技術室
*3 土木本部 土木技術部 臨海・地盤環境技術室