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環境配慮型超高強度コンクリートに関する研究

モルタルに関する検討

吉田 泰*1・山本 佳城*1・陣内 浩*1・並木 哲*1

Study of Environmentally Friendly High-strength Concrete

A Fundamental Study of Mortar

Yutaka YOSHIDA*1, Keiki YAMAMOTO*1, Hiroshi JINNAI*1 and Satoru NAMIKI*1

研究の目的

近年,環境問題への意識の高まりから環境配慮技術に対するニーズが大きくなっています。当社の重要技術である超高強度コンクリートに環境配慮技術を取り入れるべく,環境配慮型の超高強度コンクリートの研究を開始いたしました。環境問題の中でも二酸化炭素排出量の削減が急務となっていることから,二酸化炭素排出量の少ない材料を使用したコンクリートの開発を目標としています。本年度は,基礎的な検討として,結合材として副産物を大量に使用したモルタルの実験を実施いたしました。

技術の説明

コンクリートに使用する材料の中で,二酸化炭素排出量の大きいものはセメントです。そこでセメントの代わりに結合材としてフライアッシュや高炉スラグ微粉末のような産業副産物を大量に使用します。ただし,副産物を大量に使用すると二酸化炭素排出量を削減できる代わりに圧縮強度および耐久性が低下する恐れがあります。そこで,副産物を使用したモルタルによる実験を実施し,各種副産物の組み合わせと圧縮強度発現性について検討しました。また,得られた結果より,使用する副産物の組み合わせや量などから,試し練りを行うことなく副産物を使用したモルタルの材齢28日での圧縮強度を予測する式を作成しました。

主な結論

モルタル実験の結果,結合材の50%を副産物としたモルタルでも,材齢28日において100N/mm2以上の超高強度が得られることを確認しました。また,特によい結果を得られたモルタル調合から,コンクリート調合での二酸化炭素排出量を試算し,既存の100N/mm2のコンクリートよりも40%以上削減できるという結果を得ました。今後は,コンクリートでの圧縮強度実験と中性化抵抗性や凍結融解抵抗性などの耐久性試験を実施し,二酸化炭素排出量を削減しつつも圧縮強度と耐久性を十分に得られる最適調合を検討する予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 構工法研究室