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電磁誘導法による鉄筋のかぶり厚さ測定装置の基本性能に関する実験的検討

辻谷 薫*1・陣内 浩*1・吉田 泰*1・加藤 圭*2・飯島 眞人*2・佐藤 貢一*3・並木 哲*1

Experimental Study of the Basic Performance of Devices that use Electromagnetic Induction Method to Measure Rebar Cover Depth

Kaoru TSUJIYA*1, Hiroshi JINNAI*1, Yutaka YOSHIDA*1, Kei KATO*2, Masato IIJIMA*2, Kouichi SATO*3 and Satoru NAMIKI*1

研究の目的

2009年に改定されたJASS5では,鉄筋のかぶり厚さの品質管理方法が従来よりも詳細に規定され,型枠解体後,鉄筋のかぶり厚さ不足が懸念された時に,非破壊検査によってかぶり厚さを測定することが明文化されました。新たに定められたJASS5 T-608:2009「電磁誘導法によるコンクリート中の鉄筋位置の測定方法」では,かぶり厚さ測定装置本体の測定精度が規定されましたが,この測定精度を満足する測定装置がどの程度存在するのか,また実際の測定精度などについては,情報が少ないのが現状でした。そこで本研究では,2009年時点でレンタル会社などから借りることのできる最新の鉄筋のかぶり厚さ測定装置を複数準備し,それらの測定精度などを実験的に検証しました。

技術の説明

最新の鉄筋のかぶり厚さ測定装置を使用した実験を行い,JASS5 T-608の規定の範囲で測定できる装置が複数あることを確認しました。測定装置の測定誤差については,鉄筋が重なった部分での測定誤差の規則性を把握し,測定結果に対する補正値について提案することができました。また,最新の電磁誘導法による測定装置が,コンクリートの調合や材齢などの影響を受けないことを実験的に確認しました。

主な結論

本実験により,JASS5 T-608の規定の範囲で測定できる装置が複数あることを確認できました。また,測定に際しては使用する装置の特性を把握する必要があると考えられ,測定時の留意事項を社内マニュアルとしてまとめました。社内マニュアルを配備したことにより,JASS5に対応できる体制が整いました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 建築本部 技術部 建築技術部
*3 技術センター 建築技術開発部 ニューフロンティア技術開発室