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10年以上経過した超高層建物のシーリング材の劣化調査

髙橋 愛枝*1・永井 香織*1・市原 英樹*1・山宮 輝夫*2・安 伸二*3

Investigation of Aged Sealants in High-rise Buildings Constructed more than Ten Years Ago

Yoshie TAKAHASHI*1, Kaori NAGAI*1, Hideki ICHIHARA*1, Teruo YAMAMIYA*2 and Shinji YASU*3

研究の目的

近年,超高層建物の大規模改修工事が増加しています。しかし,超高層建物の劣化調査の報告が少ないため,各種仕上材の劣化現象の建物高さの影響は把握されていません。そこで本調査は,超高層建物外装の劣化状況の把握を目的に,各種仕上材の中でも比較的耐用年数の少ないシーリング材に着目し調査を行いました。

技術の説明

10年以上経過した超高層建物のシーリング材を目視調査および物性試験によって劣化調査を行い,高さ別,方位別,種類別の劣化状況の違いについて確認を行いました。調査は,建物19棟,目視調査約500ヵ所,物性試験約500ヵ所の結果をまとめました。これらの結果より,シーリング材の高さ別,方位別,種類別の劣化状況を把握することができ,仕上材の劣化検討に有効なデータを得られました。

主な結論

調査結果から,主に高さ60m以上の超高層建物では,低層階(1〜5階程度)より高層階(16階以上)のほうが劣化が進行していることが確認されました。方位による差は,南面が最も劣化していました。シーリング材の種類による差は,変成シリコーンはひび割れと界面剥離が多く,ポリサルファイドは界面剥離が多く,シリコーンは劣化が少ない傾向が認められました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 建築本部 技術部
*3 建築研究開発コンソーシアム