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移動式バケットを利用した充填材施工性確認試験

余裕深度処分施設を対象とした無人化施工に向けて

木ノ村 幸士*1・廻田 貴志*1・城所 靖夫*2・立石 洋二*3・宮原 茂禎*4・武田 均*4

Experimental Study of the Filling Performance of a Mobile Apparatus with High-volume Buckets

Automatic Filling Method for an Intermediate-depth Radioactive Waste Repository

Koji KINOMURA*1, Takashi KAIDA*1, Yasuo KIDOKORO*2, Yoji TATEISHI*3, Shigeyoshi MIYAHARA*4 and Hitoshi TAKEDA*4

研究の目的

低レベル放射性廃棄物のうち放射能濃度が比較的高いものを埋設する余裕深度処分施設のピット内充填材の充填作業は,定置した放射性廃棄物が曝露した状態での作業となりますので完全無人化施工とする必要があります。充填作業を従来のポンプ圧送による施工とした場合,長距離圧送時の配管閉塞リスクや配管配置上の制約から多点打設が難しく出来形の平坦性確保が困難であるとの問題が指摘されております。そこで本研究では,流動性に優れた充填材と打設から平坦仕上げまでを遠隔操作で行う施工装置を組み合わせることにより無人で確実な充填と出来形の平坦性を確保できる新たな施工技術の確立を目指し,同施設への適用を想定した施工性確認試験を実施しました。

技術の説明

本研究で新たに製作した施工装置は,バケット2基を搭載しレール上を可変速度で電動走行することが可能です。所定の位置まで自走し適切な間隔で流動性の高い充填材を自由落下で打設することにより,締め固め不要で平坦性確保に優れた施工を実現することができます。また振動機構を備えたフィニッシャーを装備しており充填作業後に連続して平坦仕上げを行うことができます。同施設では限られた空間内に多重の人工バリアを構築することから高い施工精度が要求されます。特に放射線を遮蔽する機能を果たす上部遮蔽コンクリートの出来形基準は大変厳しく最後に平坦仕上げが必要となりますが,本施工法の導入により基準値を満足する遠隔連続施工が可能となります。

主な結論

本研究の結果,本装置を用いた遠隔連続施工により所定の出来形基準を満足する施工技術の見通しが得られました。充填モルタルでは,平坦仕上げは不要であり打設間隔も大幅に合理化できることが確認できました。一方,上部遮蔽コンクリートでは,施工精度上フィニッシャーを用いた平坦仕上げが必要となり,最大高低差10cm程度の不陸であれば最終的に平坦な仕上げが可能であることが確認できました。本施工法は,ポンプ圧送による配管閉塞リスクを排除できる上,坑内環境や材料の品質変動など施工時の状況変化に対して打設間隔や手順を調整するなどの柔軟な施工が可能ですので,施工リスクを大幅に軽減できる点においても実施工に適した工法であるといえます。

*1 原子力本部 原子力技術第三部 
*2 土木本部 土木技術部 
*3 土木本部 機械部
*4 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室