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人と空間が調和した知能化空間の基礎的検討

医療福祉施設を対象とした知能化空間の構築

清水 友理*1・佐藤 貢一*1・加藤 崇*1・渡邊 朗子*2・長瀧 慶明*1・森川 泰成*3

A Basic Study of an Intelligent Space that Harmonizes with Users

Construction of Intelligent Space Intended for Medical and Welfare Facilities

Yuri SHIMIZU*1, Kouichi SATO*1, Takashi KATO*1, Akiko WATANABE*2, Yoshiaki NAGATAKI*1 and Yasushige MORIKAWA*3

研究の目的

現在,医療福祉施設では,医療スタッフの不足や医療保険制度改正による効率的な医療サービスが求められています。またME機器の管理等,医療サービスの品質を確保する法令が明文化されるなど,医療従事者に求められる品質や安全で快適なサービスの向上をICTで実現することが期待されています。
本研究では,ICTを用いて,電子デバイスを持つだけ,声を発するだけといったユーザーの自然な行動や言動を対象とし,ID,在/不在状態,属性情報,発話内容といった情報を,建築空間へフィードバックし制御するシステムを構築しました。これらについて,被験者実験による人と空間の調和の適切さの検証及びICTやRTのツールを建築空間に組み込む際に考慮すべき条件を検討することを目的とします。

技術の説明

本研究では,以下の要素技術について適用検討しました。
1)RFID技術:ID,属性情報,在/不在状態
2)人体通信技術:ID,在/不在状態
3)音声認識技術:発話内容

主な結論

RFID技術では,アンテナの設置位置によっては,電界強度が低下し,本来の性能を低下させてしまう可能性があり,十分な事前検討が必要です。また,照明のような目に見える機器の反応と,空調の稼動状況が見えにくい機器の反応では,使い勝手が異なり利用者の年代や利用シーンを考慮しながら設計する必要があります。人体通信技術では,リーダーの床下への施工位置と,不自然でなく安定した認証が得られる運用上の配慮が重要です。音声認識技術では,ユーザーとICTとのやり取りを考慮することにより,90%以上の認証が可能になります。

*1 技術センター 建築技術開発部 ニューフロンティア技術開発室
*2 東京電機大学
*3 技術センター 建築技術研究所