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GPS無線センサおよび地盤変位モニタリングシステムの開発

澤田 茉伊*1・志波 由紀夫*2・佐伯 昌之*3

Development of Wireless GPS Sensor for Monitoring Ground Displacement

Mai SAWADA*1, Yukio SHIBA*2 and Masayuki SAEKI*3

研究の目的

近年,建設分野においてICT技術の導入による安全性・生産性・コスト性の向上が図られています。この流れの中,現場計測の効率化を目的に,無線センサネットワークとGPS技術を組み合わせたGPS無線センサおよびこれを用いたワイヤレスな地盤変位計測システムを開発しました。これを地すべり土塊の監視などに利用すれば,電源やデータ伝送のためのケーブル曳き回しに手間や費用をかけることなく,効率的なモニタリングが可能となります。

技術の説明

GPS無線センサは,GPSアンテナ・受信機を変位センサとし,マイコンで自身を制御する自律的なセンサで,ケーブルではなく無線通信網でサーバと結ばれています。測点に設置されたGPS無線センサ(センサノード)は,サーバからの指示で所定の時間にGPS衛星からGPSデータを受信し,それをサーバへ無線送信します。サーバでは,回収したGPSデータを用いて,干渉測位法による測位解析を行い,各測点の基準点との相対位置を算出します。その相対位置の時間的変化が変位量となります。本システムの開発では,以下の性能を目標としました。
・従来のGPS測量と同等の変位計測精度(水平方向数mm・上下方向1cm程度)
・無線通信距離は500m程度(特定小電力無線を使用)
・バッテリ交換1回あたり1ヶ月以上の連続動作(2回/日計測時)

主な結論

試作機の基礎的な性能・動作の検証を行い,さらに大規模な工事現場において4ヶ月間にわたる実証試験を行った結果,実現場への適用の見通しをつけることができました。今後,完成度を高め,実施適用を目指していきます。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 技術センター 土木技術研究所
*3 東京理科大学 理工学部 土木工学科