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街区における親水空間の水質保全技術の開発

その2 水生植物の水質保全機能の向上

屋祢下 亮*1・瀧 寛則*1・斎藤 祐二*1・内池 智広*2・渡邊 篤*2・西村 正和*2

Development of the Water Quality Conservation System in Urban Areas

Improvement of Aquatic Plants for the Water Quality Conservation

Makoto YANESHITA*1, Hironori TAKI*1, Yuji SAITO*1, Tomohiro UCHIIKE*2, Atsushi WATANABE*2 and Masakazu NISHIMURA*2

研究の目的

近年,都市部において,景観や都市型生態系の創出あるいはヒートアイランド現象の抑制を図るために親水空間を設けることが多くなっています。その中で,安全性や生態系の保全に考慮して,富栄養化因子に対する吸着材と水生植物を活用し,殺藻剤など薬品を使わなくても水質を保全できるシステムを開発します。

技術の説明

水生植物の根系を平板化し,そこに富栄養化因子である窒素やリンに対する吸着材を担持させることによって,水に含まれる窒素やリンと吸着材や水生植物の根系が接触する機会を増大させ,水生植物がもともと備えている水質浄化機能を向上します。また,根系を平板化することにより,水質への負荷物質を含む客土を持ち込まずに水生植物を植裁することが可能となり,水質浄化機能が高い緑化資材を提供することができます。

主な結論

前報(その1)で選定された機能性木炭とリン吸着材を含む植栽基盤で水生植物を育成したところ,何も含まない砂基盤に比べて水生植物が旺盛に生育したことから,吸着材に吸着された窒素やリンを水生植物は利用できることが明らかとなりました。また,砂基盤に対して吸着材を30%ほど含む植栽基盤において水生植物を育成することにより,根系を平板化できることが明らかとなりました。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 環境本部 環境計画部