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街区における親水空間の水質保全技術の開発

その1 富栄養化因子の吸着材による除去性能評価

瀧 寛則*1・屋祢下 亮*1・斎藤 祐二*1・内池 智広*2・渡邊 篤*2・西村 正和*2

Development of the Water Quality Conservation System in Urban Areas

Effect of the Adsorbent for Water Quality Conservation

Hironori TAKI*1, Makoto YANESHITA*1, Yuji SAITO*1, Tomohiro UCHIIKE*2, Atsushi WATANABE*2 and Masakazu NISHIMURA*2

研究の目的

都市部における近年の再開発等では,景観や生態系保全,ヒートアイランド対策の観点から,せせらぎや池など親水空間の導入が進められています。しかし,藻類の異常発生による水質や景観の悪化が問題となるケースが増えています。従来は,殺藻剤などの化学薬品が用いられてきましたが,近年,生態系保全の観点から薬品を使わない方法での対処が求められています。

技術の説明

藻類は,富栄養化因子と呼ばれる窒素,リンをえさとして異常増殖します。そこで本技術では,吸着材と水生植物を用いて水から窒素,リンを除去することで,街区における親水空間の水質を低コストで安定して維持します。本報で報告する吸着材は,供給水および池等の窒素,リン濃度を常に安定して低濃度に保つことで,藻類の異常発生を抑制します。

主な結論

適切な吸着材の選択と利用により,模擬池に流入する窒素,リンを効率的に低減することができました。これにより,池の水質汚濁による景観悪化や異臭の発生を大幅に低減でき,模擬池における藻類の増殖を抑制できることがわかりました。本技術を用いることで,生態系に配慮した,低コストで安定した水質保全を図ることが可能となります。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 環境本部 環境計画部